テンポに合わせようと頑張って速くしゃべりました

――本作しかり、木南さんはナチュラルなお芝居が非常に上手ですよね。カメラの前で自然にいられる秘訣、いつも意識していることはあるんでしょうか?

 私としては毎作品、すべて勉強になると思って取り組んでいます。意識していることといえば、テンポを周りに合わせること、です。「おいハン」Season1初日のとき、次女と三女がすっごい早口だったんですね。「あ! こんなテンポで喋るんだ、この子たち!」とびっくりしつつ、自分もそのテンポに合わせようと頑張って速くしゃべりました。そうやってテンポを合わせると、「このドラマにすごく合う、なじむな」と感じられるので、基本的にはすごく合わせています。相手とのテンポが合わないとノッキングを起こしてしまうんですよね。

 逆に「おいハン」の後に入った作品では「めっちゃしゃべるの速いね」と言われたことがあって、「あ、『おいハン』のテンポになってた」と思いました。そこでまた戻して、ちょっとゆっくりしたりして。作品ごとにテンポ感は全然違うと思うので、相手や作品に合わせたりすることは心がけてます。

――確かに、『ブラッシュアップライフ』だと、また全然違うテンポやムードですよね。

 『ブラッシュアップライフ』はもっとリアルに寄せたほうなので、あのしゃべり方なんですよね。「おいハン」はコメディ寄りといいますか。コメディのお芝居はしていないけど、セリフや起きてることはコメディみたいな感じなので、テンポも速いと思うんです。

 あとは山口さんの好きな感じがあるなあ、と。山口さんが大きい芝居を求める方ではないので、大きくリアクションすると「もうちょっと抑えてもらっていいですか」と言われるんです。山口さんの中での正解のリアルがあるので、少しテンションを下げたり大きくならないようにと、この現場では心がけていました。

2024.05.25(土)
文=赤山恭子
撮影=深野未希
スタイリスト=中井綾子(crêpe)
ヘアメイク=坂本志穂(グラスロフト)