●シニア猫が穏やかに暮らせる優しい環境づくり
猫の室内飼いが当たり前になった今、その寿命も年々延びていて、最近は20歳近くまで生きる猫も少なくありません。シニア期に入ると、日常生活でできないことも増えてきますが、飼い主さんが気付いてあげることで、猫の負担を軽減できることもたくさんあります。
「ペット共生型賃貸住宅の入居者様向けに、昨年初めてペットの老後をテーマとしたセミナーを開催しました。猫は昔から”ピンピンコロリ”と言われるように、ほとんど介護がいらない生き物。その分、急に具合が悪くなってお別れするパターンも多いので、知識があれば不調の早期発見につながりますよという注意喚起や、シニア猫に合わせたお部屋づくりなどについてもお話しさせていただきました」
まず、見直したいのが猫のトイレ環境。シニアになると、トイレの縁をまたげなくなったり、またぐことの負担が大きいとトイレ自体を避けるようになってしまいます。
「猫は神経質なので、年を取ってからトイレを替えると警戒して使わない可能性も。対策としては、中年期から縁が低いタイプも併用したり、スロープを設置するなど、早いうちから慣らしておくと切り替えがスムーズです」
また、シニア期になると、あれほど好きだったキャットタワーに登ることさえ難しくなって、筋力が衰えるだけでなく、元気もなくなってしまいます。
「いくつになっても、猫は高い場所にいると安心します。キャットタワーにテーブルを増設したり、家具の配置を工夫してなだらかに登れる安全な場所を作ってあげると、猫ちゃんの心も満たされるでしょう」
獣医師の立場からも、愛猫と長く快適に暮らすには、若い頃からシニア期を視野に入れた環境づくりが大切と話す佐々木さん。
猫が本能のまま、のびのびと暮らす姿を見るのは、飼い主さんにとっても幸せなこと。生涯の大半を家の中で過ごす猫のために、ライフステージに合わせた暮らしやすい環境を整えてあげたいですね。
●お話を伺った方
旭化成ホームズ LONGLIFE 研究所長 河合慎一郎さん
旭化成不動産レジデンス プロパティマネジメント推進室・獣医師 佐々木亜子さん
ヘーベルハウス PET ライフスタイル
https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/lifestyle/pet-life/index.html/
ペット共生型賃貸住宅「ヘーベルメゾン +わん+にゃん」入居募集サイト
https://www.afr-web.co.jp/hebel-rooms/feature/petkyousei.html/
2024.03.16(土)
文=田辺千菊(Choki!)
写真提供=旭化成ホームズ(HEBEL HAUS)
撮影=今井知佑