この記事の連載
- 小泉今日子さんインタビュー#1
- 小泉今日子さんインタビュー#2
小泉今日子さんと言えば、80年代を代表するアイドルであり、舞台や映画、ドラマ出演もこなす女優。そして、今では株式会社明後日の代表取締役を務めながらプロデューサーといった裏方仕事もこなすというマルチな活躍に注目が集まるスーパーウーマンです。そんな彼女が片時も離さず、とにかく暇があれば没頭するというのが【読書】。小泉さんは、大の読書家としても知られています。
今回の書籍は、Spotifyで“本をテーマ”にスタートしたオリジナル番組『ホントのコイズミさん』として配信されていたものから、テーマに合わせた配信回をキュレートして集めたもので、3冊目となる本のテーマは【NARRATIVE】。自分自身が紡いでいく物語、という意味のNARRATIVEと、アイドルから歌手、女優、そして制作プロデューサーまで縦横無尽に渡り歩く小泉今日子さんの人生をオーバーラップさせながら、今の小泉さんの本音をたっぷりと伺いました!
ポッドキャストでも書籍でも2度楽しんでほしい
――新刊の『ホントのコイズミさん』は今回、NARRATIVEというテーマで、すでに3冊目です。ポッドキャストで耳から聞くのと、本として読んでいくのでは、印象が違って驚きました。
そう思います。音で聞いていたときに気になったことと、読んだときに引っかかることって、何か違う気がしますね。印象が異なるというか。
でも、それが書籍化するときにいい効果になるという感じがしました。ポッドキャストと書籍と、どちらから入っても面白いでしょうし、印象が違うのでどちらも楽しめると思います。
――印象が異なるがゆえに、書籍化されるときに苦労されたところなどはありますか?
本になるときは、私はほとんど何もしていないんですけれど(笑)、きっと編集の方は苦心されていると思います。最初にこの本をつくると決めたときに、横書きにするとか、本をどちら開きにするかとか、細かいところにこだわって、ポッドキャストのムードをどう読んでもらうかというアイデアを出し合ったと聞いています。
この番組が始まるときから編集を始めとする皆さんに参加していただき、仲間になってもらいました。写真撮影など、常に現場にいてもらったんです。実際の収録時のムードを見てくださっている方々が本を作ってくださるというのは、とても大きい気がします。
――毎回、書籍ならではの企画も入っているそうですね。
そうなんです。最初から、「書籍でないとできない企画も必ず作ろうね」と話して、そのアイデアも担当編集の方と一緒に考えました。
今回のNARRATIVEでは、例えば宮藤官九郎さん。脚本家としての宮藤さんについてご存知の方は多いと思いますが、作詞家としての宮藤さんにももっとフィーチャーしたいなと。そこで、『宮藤さんの傑作リリック集』という、宮藤さんの作詞を5曲紹介する企画ページを作りました。
例えば、THE ALFEEの高見沢俊彦さんのソロ曲の『騒音おばさんVS高音おじさん』は名“詩”ですよ(笑)! 高見沢さんもこの歌をとても気に入っていらっしゃるそうで、ご自身のソロライブの最初と最後に2回も歌われるとか(笑)。宮藤さんもとても喜んでくださって「歌詞を取り上げてくれた企画、すごく嬉しかった」とご連絡をいただきました。
――『宮藤さんの傑作リリック集』には、ほかにもNHK『みいつけた!』の『わーわーわー ~はじめてのウソ~(フルバージョン)』やNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で小泉さんが歌われた『潮騒のメモリー』などが取り上げられています。
『みいつけた!』は子ども向けの番組なのですが、「しょーにんよっきゅー」とか「じーこーけんお」とか、あえて少し難しい言葉が入っているんです。でもそれが言葉を知るきっかけになるんですよね。子どもって敏感だから、「その音は何?」と思ったら、大人に聞いてみるだろうし、そうしたらそれを一生忘れないんだと思います。でも“知る”というのはそういうプロセスのものなので、宮藤さんの愛情が溢れている歌詞だと思います。
2024.03.13(水)
文=前田美保
撮影=深野未季
スタイリスト=藤谷のりこ
ヘアメイク=石田あゆみ