この記事の連載

 也哉子さんは「本当は私も会いたかったんですが……」と本音を漏らす井﨑さんに「ごめんなさい~」と恐縮しながらも、

「普段はスタッフがいらっしゃる方も、お一人でポツンといてくださる。そして誰しも持っている影みたいな部分を私が差し出すと、必ず普段は出さない影の部分を出してくれて、これはやっぱり1対1の醍醐味というか。

 年齢、状況、経歴、全然違う15人の方々ですが、皆さん本当に一人ぼっちがとってもよく似合うんですよね。自分と仲良くできている人たち。転んだり、擦りむいたりもしてきたけれども、自分の力で立ち上がって歩いてきた人たち。だからこそ優しくて強い。それがすごく共通していたなと思います」

“一番の読者” 夫・本木雅弘の「ぐうの音も出ないひとこと」

 さて、連載の5年間、也哉子さんにとって常に一番の読者だったのが夫の本木雅弘さんだったという。

井﨑「(単行本刊行の際)本木さんに一言いただけませんか、とお願いしたら、『内田也哉子という人が、有名な芸能人の両親や妻という肩書きから脱しよう、人生後半頑張ろうともがいて毎回書いてきたのに、最後に自分が出たらダメじゃないですか』とおっしゃって、ぐうの音も出ず……」

 やだモッくんカッコいい! しかし井﨑さんは「一言」とはまた違う角度で「夫婦対談」をお願いするというウルトラCを思いついた。それが2023年12月22日発売の「週刊文春WOMAN」創刊5周年記念号(Vol.20)「特集:母と娘って」の夫婦対談「内田也哉子が聞く、本木雅弘『婿の言い分』」である。

井﨑「(本木さんは)いろいろあったけど仲のいい夫婦です、みたいな企画はつまらないから絶対やりたくない、とおっしゃって」

内田「そう、ヒリヒリした部分も晒したいって」

 21ページにわたる特集は、本当に「これ言っても大丈夫?」と驚くほど、ぶっちゃけた内容となった。

2024.02.15(木)
文=田中 稲
撮影=佐藤 亘(ポートレート、書籍)、編集部(イベント風景)
ヘアメイク=渡邉ひかる(ambient)