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ファンの心をくすぐる『セマンティックエラー』のグッズの数々

シン 『セマンティックエラー』は韓国ドラマとしては珍しくグッズもたくさん作られています。例えば、主人公二人のアパートの部屋番号が書かれたキーホルダーとか、イラストピンバッジ、使い捨てカメラなどがあります。

 ほかにも、自撮り風に作られたトレカ付きのフォトブック、俳優が実際に使った台本が左右に割り振られた台本集はBLの受けと攻めの演技ポイントを比較しながら読めるのでとても楽しいです。

 こういう本は、専門の版元が出版するんですよ。『僕らの恋愛シミュレーション』のフォトブックも同じ出版社から出ていて、高校の同級生だった二人の学生証という特典がついていました。

 さすがファンの気持ちをよく理解しているんだな、と感心しました。

――すごい。グッズの種類が豊富なところが、K-POP文化の影響を感じますね。

シン コアファンを狙うというところが一緒だからですかね。ほかの作品でも、グッズが作られているケースがあります。一つずつ集めるのが楽しいんですよね。

 『セマンティックエラー』(原作:J. Soori、漫画:Angy)はBL小説が原作なんですけど、ドラマの影響で小説の売り上げが576%も伸びたそう。それに、主演俳優のパク・ソハムのInstagramのフォロワーは100万人を超えました。相手役のパク・ジェチャンも、所属するアイドルグループ「DKZ」の昔の曲がチャートインし、アルバムの初動売上も大きく伸びたんです。

――すごい反響ですね。

シン これまでのBLドラマにないくらい制作費や宣伝費をしっかりとかけた作品で、TVドラマに寄せて脚本や演出を作っているんです。

 そのおかげで、キャラクターの感情の揺れ動きがうまく表現されています。

――制作会社のレモンレインは韓国ドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』(2010年)や『財閥家の末息子』(2022年)など、有名な作品を手掛けていますよね。

シン 韓国では大手のTVドラマ制作会社で、ヒット作を多数生み出している名門です。初めてレモンレインがBLドラマを制作していると聞いた時は「あのレモンレインが?」と耳を疑いました。『セマンティックエラー』のほかに『ラブ・トラクター(原作の電子コミック名は「愛を運ぶトラクター」)』(2023年)もレモンレインの作品です。

 『セマンティックエラー』が制作される前と後では、韓国BLドラマの公開本数に倍以上の差があります。それくらい大きな影響がありましたね。一人のファンとしてもこの作品の成功には感謝しています。

2023.12.29(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=佐藤 亘