〈妻から「朝ドラの間は優しくしてあげるから」と言われるも、夫婦仲は超ギスギスに…『ブギウギ』脚本家(51)が語る、朝ドラの世界の裏側〉から続く
NHK連続テレビ小説の第109作目となる『ブギウギ』の脚本を務めた、足立紳(51)。
小説家としても活動する彼に、『ブギウギ』脚本執筆のスケジュール、自身の意見も反映されているキャスティング、スタジオでの撮影風景などについて、話を聞いた。(全3回の2回目/続きを読む)
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分担制の『ブギウギ』脚本
――もうすこし執筆時の話を聞きたいのですが、放送1回分を書き上げるたびにNHKへ渡すのですか?
足立紳(以下、足立) 渡すのは1週間分、エピソード数にすると5回分です。まずは、みんなで週ごとのプロットについて打ち合わせをして、それから1週分を書いて一斉メールでスタッフの方々へ送ります。
それをプロデューサー陣とディレクター陣がチェックして、直しの方向性とかを決めていくんです。だいたい、1回か2回の直しがあって、その後に時代考証の方や方言指導の方に送ってチェックしてもらいます。
――当然、〆切も決まっている。
足立 毎週何曜日に渡すってのはないです。最初の頃は映画と並行していたので、1週間分を書くのに10日から2週間ほどもらっていましたね。映画が出来上がったのが2022年7月の終わりでしたけど、それ以降も年末あたりまでは10日で1週間分を書いて。
さすがに余裕ができたので、2週間かかることはなかったです。年が明けて、今年からは相当なピッチで書いていました。一日一話くらい。そこでようやく慣れましたね。
――脚本にはもうひとり、櫻井剛さんが入っていますが、共同脚本というわけではないんですよね。
足立 共同脚本という形ではないです。もちろん打ち合わせは一緒にやるのですが。
共同脚本って、脚本家と脚本家が「こうやってみるのはどうか」「こうしてみよう」と、脚本を往復書簡のようにキャッチボールする感じで書き上げていくものなんですけど、今回はこの週は櫻井さん、この週は足立みたいな分担制、分業制のチームにした感じです。僕がテレビドラマにあまり慣れていないのと、最初の頃は映画と並行でなかなか思うように進められなかったから、どなたかに入っていただいたほうがいいと判断したのだと思います。
2023.12.15(金)
文=平田裕介