複数で書いている朝ドラは他にもいくつかありますけど、どういったやり方で進めるんでしょうね? ちょっと、その辺はわからないです。もしかしたら今回みたいな分担、分業ではなく、アメリカのドラマみたいにチーム制とか映画のように共同脚本みたいな場合もあるのかもしれませんね。
とにかく表情がクルクル変わる、ヒロイン趣里さん
――今回、キャスティングに関わったりは?
足立 スズ子役の最終オーディションには立ち会わせていただきました。そのときから趣里さんはとても面白いお芝居をされていて、僕はずっと笑いながら見ていました(笑)。
趣里さんは『生きてるだけで、愛。』(2018年)でも、すごくいいなと思ったんです。いろいろと抱えてるヒロインを演じているんだけど、ものすごくいい演技をされていて、すごく印象に残っていたんですけど、とにかく最終オーディションのときのお芝居での表情がとても豊かでクルクル変わるその表情が最高でした。もういつまででも見ていたくなるし、これは愛されるキャラクターになるだろうなあって。
いい意味で年齢不詳なのも、僕にとっては大きくて。趣里さん32歳でしたけど、10代にも見えるし、20代にも見えるし、年相応にも見えるし、それ以上にも見えることがありましたから。
――趣里さんに決定した時点で、脚本はどれくらい進んでいたのでしょう。
足立 たしか、まだ2週目までですね。成長したスズ子が登場する3週目を書く直前で、趣里さんに決まったんですよ。そこからはめちゃくちゃ書きやすくなりましたね。趣里さんがこんなことを言ったりしたら面白いだろうなあなんてニタニタしながら書いていました。
――趣里さんとは会いましたか?
足立 2022年10月あたりかな。趣里さんが東京で歌のレッスンをされるという日に初めてお会いしました。
緊張して行ったんですけど、すぐにリラックスできました。趣里さんは実に普通なんですよ。普通と言っちゃったらアレかもしれないけど、芸能人っぽさがぜんぜんなくて、でもめちゃめちゃかわいくて。かわいいというのは、なんていいますか、たたずまいというのか。スズ子は親の愛情をたっぷり受けて大らかに伸び伸び育った子として書いていたので、ほんとにぴったりだと思いました。ああ、早く趣里さんのスズ子が見たいなあって。
2023.12.15(金)
文=平田裕介