また最大ズーム時に画面がピタッと止まらずに揺れが生じる現象は改善されていないほか、従来のPixel 7 Proよりも被写体にピントが合いにくく、画面上で被写体をタップしてやらないといつまでもフォーカスが合わずに迷い続けている現象が稀に見られます。基本的な撮影機能の改善にも、もう少し力を注いでほしいところです。

 

いまいちなところ:使い道に困る温度センサー

 このPixel 8 Proにのみ新しく搭載された機能に、温度センサーがあります。カメラの横に追加された温度センサーを使うことによって、物体の温度をすばやく測定できます。カメラのように遠い距離から測れるわけではなく、約5cmの距離まで接近する必要はありますが、使い方によっては重宝します。

 ただし実際の利用にあたっては、表面の素材などを選択してやらなくてはならず、手間もかかる上に素材の選択ミスによる誤計測も考えられます。また現時点ではFDA認証を取得していないため体温の測定には利用できず、仮にFDAをクリアしても日本では薬機法の関係で医療器具として販売するのは困難です。体温が測定できれば、日々の健康状態のチェックに活用できるのですが、現時点では使い道に困ってしまいます。

いまいちなところ:「スゴいけど使わない機能」が多すぎる?

 本製品はAIを活用したさまざまな機能が搭載されています。たしかに画期的かつ斬新な機能が多いのですが、実際に使う機会は訪れなさそうな微妙な機能も多々あります。

 例えば、複数の集合写真を合成することで、誰かが横を向いていたりまばたきしていてもベストな写真を作り出せる「ベストテイク」や、写真内で被写体の位置を動かしたり、さらにはAIが別のイメージを合成してくれる「編集マジック」は、確かにスゴい機能ではあるものの「でも実際には使わないだろうなぁ」という機能の典型例です。

 こうした機能は、あっても特に邪魔になるわけではありませんが、本製品は従来モデルに比べて価格が大幅に上昇していることから、これら機能が価格を押し上げる要因のひとつになっているとすれば、少々納得がいかないところです。

2023.11.20(月)
文=山口真弘