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クソピとは!? 玉石混交のセラピストたち

――クソピ……?

水谷 ダメセラピストをクソピって言うらしいんですよ(笑)。いちばん問題なのは勝手に挿入しようとしてくる行為ですが、写真と全然違うルックスの人が来たとか、自分の話ばかりするとか、自分のを舐めさせようとするとか、そういう己の欲望を満たそうとするどうしようもないセラピストの話もいずれ描こうと思っています。

――セラピスト側の心情も細やかに描写されてますよね。1巻では〈悠〉という実年齢は29歳でお店では30歳設定のセラピストが活躍しますが、トップを張る彼もセラピストという仕事をする上での悩みを抱えています。

水谷 若いイケメンのイメージが強いと思うのですが、実際問題、いちばん人気は若すぎない30歳ぐらいらしいです。なので、28歳の人が30歳と逆サバ呼んだりするとか。そこは少しでも若く見せたい男性向けの風俗と真逆ですよね。

 悠のようなプロ意識のあるセラピストは、美容的な面もテクニックも清潔感などもちゃんとしていて、小さい努力の積み重ねを怠りません。どうしたら女性をリラックスさせるか、リピートしてもらうかが大事なので、ブログや質問箱でユーザーと交流したり、自分のテクニックを見せる動画をアップしたり、コミュニケーションや発信をマメにやっています。

 また、女性の要望の中に、ベッドで勃起していてほしいというのも根強くあって、意志の力で勃起させるというAV男優並みの強者もいますよ。

――6話に、悠とはタイプの違う〈オスみの強い〉セラピストが入店しますね。虎太郎と名乗る彼は、講習会などにも積極的で堂々と〈1位を目指す〉と宣言する上昇志向の強さが目立ちます。虎太郎はセラピストとしては御法度の色恋営業もいとわないため、悠と対立していくのですが……。展開がますます楽しみです。

水谷 私自身、取材してみて描きたいことは増える一方なので(笑)、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~』

水谷緑
講談社 759円
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女性用風俗……略して「女風」。ここ数年で増加の一途をたどる女性用風俗業界で働くセラピスト・悠。彼のところには性欲だけではなく、さまざまな目的で女性がやってくる。高齢処女であることを気にしているアラサー女子、出産後セックスレスになった共働きの妻……。2時間2,5000円ものお金を払って、彼女たちは何を求めているのか? あなたが知らない世界の心と体の物語。2024年春頃に第2巻発売予定。

水谷緑(みずたに・みどり)さん

漫画家。2014年に『あたふた研修医やってます。』(KADOKAWA)でデビュー。主な著作に『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』(文藝春秋)『こころのナース夜野さん』(小学館)『精神科ナースになったわけ』(イースト・プレス)など。

次の話を読む【マンガ】第一話特別公開! 水谷緑『僕は春をひさぐ』 注目が集まる女性風俗の世界とは

2023.11.18(土)
文=三浦天紗子
写真=平松市聖