伝統と現代を「結ぶ」おもてなしに心満たされる
◆紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良

2023年、日本各地に話題のホテルが続々と誕生するなか、とくに注目を集めているのが、8月29日に開業した紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良。

立地、空間、料理、おもてなし、すべてにおいて「特別」を用意し、悠久の古都で圧倒的に贅沢な時間を演出します。

時折、鹿たちの姿も見かける奈良公園の西端。その一角にそびえる豪壮な門が、この最新ホテルのエントランス。敷地内に入った瞬間、非日常へといざなわれます。

大正時代に建てられた旧奈良県知事公舎の建築を受け継いだメイン棟には、日本庭園を望むダイニングなどを配置。

昭和天皇がサンフランシスコ講和条約の批准書に署名した「御認証の間」も当時の趣のままに保存されており、戦後日本の始まりを象徴する歴史的な空間に身をおいて過ごすひとときは、貴重な体験となるでしょう。

また、約9000坪の広大な敷地には、池の庭、苔の庭、茶花の庭からなる名勝・吉城園(よしきえん)を擁するほか、隈研吾氏による設計で新たに建設された宿泊棟が、周囲の景観に溶け込むように佇みます。

さらに、かつて興福寺の子院だった世尊院を改修した茶寮「世世(ぜぜ)」では、滞在するゲストだけが体験できるシャンパンタイム「ガーデンディライト」を毎日開催。

滞在中はホテルのコンセプトである「伝統と現代の結び」を、随所で体感することができるのです。
2023.10.27(金)
文=矢野詔次郎
写真=志水 隆
CREA Traveller 2023 vol.4
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。