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 岡山駅を起点に瀬戸内の4方面に走る、アートな観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」。野山や海に浮かぶ小島の風景を眺めながら、ゆったりのどかに過ごす列車の旅は日頃の疲れを癒やしてくれます。前篇では、岡山駅から日生(ひなせ)駅に向かうエリアの名物や、伝統文化をご紹介。

観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」の車内はシックなホテルのような設え!

 まるで瀟洒なホテルに滞在しているかのような座席&フローリングデッキ、自転車をそのまま積み込めるサイクルスペース、オリジナルグッズや地元の特産品とコラボしたドリンクやフードが購入できる車内販売カウンターなどを備えた特別な観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」。土・日曜・祝日を中心に岡山駅を起点に運行される二両編成の列車で、日にちごとに4つの異なる区間を走行するのも特徴です。

 4つの区間のうち、岡山~日生を走行する「ラ・マル 備前長船」は「東岡山」駅を経て、日本刀の産地として栄えた「長船」や日本六古窯のひとつである備前焼の里「伊部(いんべ)」を通り、1時間10分ほどで瀬戸内海に面した終点の「日生」に到着します。

 車両のヘッドマークは4つの行き先ごとに異なり、「ラ・マル 備前長船」は停車駅の特産、日本刀や備前焼に因んだ「炎」がモチーフとなっています。

 岡山~日生を運行する間に停車する各駅周辺にも見どころが充実。長船駅から「備前長船刀剣博物館」へ、伊部駅から「旧閑谷学校」へ、いずれもタクシーや路線バスなどで向かうことができます。「ラ・マル 備前長船」は途中下車しても、再び乗車が可能な場合もあるので、事前に運行時刻を調べて名所に足を運んでみてはいかがでしょう。

 緑豊かな車窓を楽しみながら、「ラ・マル 備前長船」に乗って約1時間10分、瀬戸内海の漁師町である日生に到着します。日生町は兵庫県赤穂市と隣接し、昭和40年代から始まったカキの養殖が盛んなエリア。カキの生産量が全国3位の岡山県で、その5割以上の水揚げを占めるそうです。

2023.10.07(土)
文=CREA編集部
撮影=榎本麻美