9月20日の血圧は「最高170」
シンシンの次男と次女は、2021年6月23日に誕生した双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)。4頭の子どもは全員、人工授精ではなく、シンシンとリーリーの自然交配によって生まれました。
![シンシンと木に登っているレイレイ(左)。この日、双子が初めて報道陣に公開され、飼育係が見守っている。2022年3月23日。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/1/1280wm/img_91a524fe83862abf9efe36fbeb71efcb208602.jpg)
![おいしそうに竹を食べるシンシン。2022年3月23日。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/1280wm/img_264aeae64c6f3ba12ae2501338b42f44285188.jpg)
![竹を食べているのがシンシン、低い木で寝ているのがシャオシャオ、高い木に登っているのがレイレイ。2022年3月23日。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/c/1280wm/img_3c0890f132d6904c05c4f969779581be270421.jpg)
![シンシンと双子のシャオシャオ・レイレイが一緒に過ごす最後の日となった2023年3月19日。このあと双子は親離れした。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/9/1280wm/img_8953c0ea564f4b384f2c3aeed7598cb8184399.jpg)
![2歳の誕生日を迎えたシャオシャオとレイレイ。2023年6月23日。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/1280wm/img_3eb11dc68c2e197b02b1521983f098f4228140.jpg)
シンシンが上野動物園に来てからの約12年間で、発情期や出産・子育て、引っ越しのためにしばらく公開休止となったことはありますが、体調不良が原因でおよそ10日間も公開休止となるのは初めてです。
公開休止を受け、SNSでは「大丈夫でしょうか」「無理せずゆっくり休んで」「スタッフの皆さま、シンシンをよろしくお願いします」といった、心配したり気遣ったりする声が相次いでいます。
9月22日(金)に上野動物園に取材したところ、シンシンは9月15日(金)と17日(日)に鼻から出血して、9月18日(月)も少し鼻血を出したそうです。「たかが鼻血で」と思われるかもしれませんが、決して油断できません。例えば、タイのチェンマイ動物園にいたメスのリンフイは今春、鼻血を出した後に21歳で急死してしまいました。
![タイのチェンマイ動物園で元気だったころのリンフイ。2019年9月28日。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/1280wm/img_41d2c3221c666c3ebbba68565d4fce48196935.jpg)
上野動物園は、シンシンの鼻血が続いたため、9月20日(水)に血圧を測定したところ、「最高170、最低146」と高い値を示しました。高血圧になると、パンダに限らず一般的に、心臓や血管に負担がかかります。すると心臓病や脳卒中になったり、網膜剥離で目が見えなくなったりするリスクが高まります。
高血圧の治療としては、基本的には人間と同じように降圧剤(こうあつざい)を投与します。シンシンにも9月21日(木)に降圧剤を投与すると、血圧は「最高117、最低95」になりました。
上野動物園の大橋直哉教育普及課長は「人間用の血圧計で測定しているので、どこまで正確かは分かりません。しかもシンシンの血圧をはかったのは今回が初めてなのでデータがなく、絶対にこの値が正しいと言えないのが難しいところです」と前置きしたうえで、「血圧は下がりましたが、それが継続するかについては様子を見る必要があります」と9月22日(金)に指摘しました。
薬を投与されたシンシンがどのような反応を示すか分からず、公開しながらでは十分に観察して、ケアすることが難しいので、上野動物園は公開休止に踏み切りました。
2023.09.28(木)
文・撮影=中川美帆