初秋の軽井沢でアートと食で整う
「旅好きの自由人としては、公共の交通機関も無論便利ですけど、乗せてもらっているより自分で操っている方が落ち着くんです。だから車で一人旅は、けっこう頻繁に実践している方だと思います」
ステアリングを握りながらそう述べるのは、クリエイティブディレクターの飯嶌寿子さん。クレジットカードのプレミアム会報誌に長く携わり、南米や中国奥地などへの旅取材を数多くこなしてきた。今は広告やメディアの仕事のみならず、集合住宅の図書室プロデュースなども手がける。海外出張でもよく運転するそうで、普段は年代物のスポ―ツカーに乗っている。
今回は軽井沢へ、フランスのシトロエンから派生した新進ブランド、「DSオートモビル」のミドルサイズ車種「DS 4」を、日帰りドライブで走らせてみた。日常の都会から遠からぬ、しかし異なる非日常の中で、軽井沢のアートや食を通じて、DSが掲げる「フレンチ・アート・オブ・トラベル(フランス流に、感性を磨く豊かな旅の意)」を体感してもらうためだ。
「海外で借りたレンタカーで、ペラペラに薄い感じがして驚くような車もありました。旅は初めての行先でもそうじゃなくても、初めて過ごすものなので、(車に)安心感は欲しいんです。かといって女子なので、過剰にゴツい車はちょっと。自分が主体的・能動的になれつつ、必要な時だけ頼りになる、そういう安心感。だから旅で乗る車には、虫のいい話、エスコート上手なパートナーであることを求めます。その点、DS 4は内外装ともエレガントで上品な雰囲気で、まず気持ちを上げてくれますね。いざ走らせたらアクセルやブレーキ、ステアリングの操作にも遅れや遊びが少なくて、自分で操っている感が強い。甘過ぎず、乗せられ過ぎないのが丁度いいです」
都内から高速道路をおよそ2時間半、休憩を挟みながら上信越道を下りて、まず目指したのは、藤田嗣治だけの作品をアットホームな雰囲気で鑑賞できる「軽井沢安東美術館」だ。軽井沢には機会ごとに訪れているとはいえ、飯嶌さんにとって昨年秋にオープンした同美術館へ足を運ぶのは、初めてという。
2023.09.08(金)
構成・文=南陽一浩
撮影=望月勇輝
撮影協力=軽井沢安東美術館、オーベルジュ・ド・プリマヴェーラ
写真協力=DS Automobiles