スマホ決済には不便さも…
そのため成都基地は「魏某某(女、38歳)」「黄某某(男、37歳)」のように氏名の一部と性別、年齢、迷惑行為の内容、処分内容を公表しています。処分は「1年以内の入場禁止」といった内容が多く、遂行するには実名制での入場とする必要があります。
ただ、入場券の予約・購入がオンラインとなったことで、多くの外国人旅行者は不便になりました。6月中旬時点で、入場券の購入には、中国のスマホ決済アプリ「微信支付(ウィーチャットペイ)」が必要とされ、ウィーチャットペイは基本的に、中国の銀行口座や中国国内で発行されたカードがないと使えなかったためです。困り果てた筆者は結局、旅行会社に予約・購入をお願いしました。
成都基地に限らず、中国ではスマホ決済が従来から普及していて、コロナ禍による非接触需要の高まりで、さらに広がりました。偽札対策もあって、今や現金よりも圧倒的にスマホ決済が主流です。ちなみにVISAなどの国際クレジットカードで支払える場所は、中国ではとても少ないです。
ウィーチャットペイと「支付宝(アリペイ)」は、中国の2大スマホ決済アプリですが、中国国外で発行されたクレジットカードに対応していませんでした。アリペイの「ツアーカード」という外国人向けのスマホ決済サービスなら、中国国外で発行されたクレジットカードに対応していますが、6月中旬の筆者の体験に限れば、ツアーカードを使えない場所が多かったです。
成都基地内では、店員さんのいるグッズ売り場でスマホのツアーカードの支払い画面を提示したものの、使用不可。そのため現金で和花のグッズを買いました。成都基地内の新エリア(後述)で飲み物を買おうとした自販機はウィーチャットペイでしか支払えず、購入を諦めました。成都基地と最寄りの地下鉄「パンダ大通り」駅を結ぶシャトルバスは、乗車時に運賃の2元(約40円)を現金で支払おうとしたら「ウィーチャットペイで」と言われました。
成都基地が午前7時30分に開園すると、中国の人たちは身分証をかざして、自動ゲートをどんどん通過していきます。自動ゲートを通れない筆者は不安に駆られつつも、とりあえず列の流れに従い、人で密集する中を進みました。
2023.08.24(木)
文・撮影=中川美帆