宮藤さんの頭のなかはどうなっているのだろうと思う

――宮藤官九郎さんの脚本は、読まれていかがでしたか?

 まず、設定を京都にしたのが絶妙だと思いました。ハジメくんの役は、標準語で話すと浮いてしまう可能性があったので、京都弁のやわらかい口調になったことで、ちょっと憎たらしいけれど、愛せるキャラクターになった気がします。

 ただ、京都の方が耳にしても違和感のない滑らかな京都弁を話さなければいけなかったのは、そこは大きな壁でした(笑)。

 宮藤さんが脚本を書かれたことで、日本的な笑いが加わり、5分に1度はくすくす笑いました(笑)。宮藤さんのホンはやっぱり面白いなと思いながら読ませていただきました。

――オール京都ロケだったそうですが、京都で撮影することが、お芝居の助けになったということはありますか?

 どこで撮るかというのはすごく重要で、その土地から生まれる空気感は画面に映るものだということを、ここ数年強く感じています。この場所のこの空気だから、こういう芝居が生まれる、というのを他の作品でも自覚しました。独特のテンポ感という意味でも、京都を舞台に設定したというのは絶妙な選択だと思いました。 

 京都の街中は、撮影がしょっちゅう行われているんでしょうね。ロケ中は通りすがりの人に「大学の卒業制作?」と聞かれました(笑)。「いえ、一応公開される予定です」と答えました。

2023.07.07(金)
文=黒瀬朋子
写真=榎本麻美
スタイリスト=小林麗子
ヘアメイク=大石裕介
衣装協力:NEEDLES(ジャケット、シャツ、パンツ、ミュール)