じつはみんなオイルが大好きだった!!
b 化粧水の導入液やマッサージ美容液として、またボディやヘアにも、オールマイティに使える。ボタニカルハニー 植物の潤いから生まれたスキンオイル 63ml ¥2940/ベキュア
c 3つの植物オイル配合で、肌に不可欠な脂質を補い、バリア機能を回復させる。カプチュール トータル コンセントレートオイル 30ml ¥15750/パルファン・クリスチャン・ディオール
d 美容液の前に使うマッサージオイル。次のケアの浸透・効果をより高め、肌を引き締めてリフトアップ。アベイユ ロイヤルトリートメント オイル 28ml ¥13650/ゲラン
e 美容オイルならではのトリートメント効果で素肌を美しく艶やかに仕上げるファンデ。化粧下地も不要。オイルセラム ファンデーション SPF28 PA++ 30ml 全6色 各¥6300/アルビオン
ほんの数年前まで、髪にオイルをつけたり、オイル製のファンデーションをつけたりなど、絶対にありえなかった。それどころか、ひと昔前までオイルものは、“アブラ”として忌み嫌われていた。オイル美容液さえ、ありえないアイテムだったのだ。
言うまでもなく、アブラ=べたつき、嫌なテカリ。ギトギトと暑苦しく、キレイとは程遠いまったり重たいイメージ。実際にオイルものを使って、思い切り汚く化粧くずれしたり、オイリー肌のためにニキビに悩まされ続けたような経験がひとつのトラウマとなって、アブラを毛嫌いするようになった人も少なくない。それには1980年代に生まれる“美容液の台頭”が大きく、アブラを使わなくても乾きは防げるのだという気づきから、ネガティブ要素の多いアブラが世界的に排除されたのだ。
それがどうだろう。ここ数年で一転、“オイルブーム”とも言える状況になっている。人間の嗜好ってそこまでひっくり返るものなのか? いやおそらく、人間はアブラがもともと好きで、本当は思い切り頼りたい素材。“水ではできないのにアブラならできること”がたくさんあるのはよくわかっているから、ネガティブ要素を取り除いたアブラが登場して、理屈抜きに飛びついただけのこと。
一方で、“肌老け”の最大原因は水分不足以上にセラミドや皮脂膜など、総合的な皮脂不足だとされる上に、今やアブラの摂らなさすぎが老いを早め、寿命を縮めるといった“健康ブーム”への警告も始まり、“ダイエット老け”を防ぐためにも、アブラはあえて摂るべきとされている。
そんなこんなで逆に注目素材となったアブラ。その時を待っていたように、コスメのアブラは、とんでもなく進化していた。脂肪酸の減少がバリア機能を低下させ、老けの原因となることに注目したディオールカプチュール トータルのオイル美容液は3種類の希少なオメガ系脂肪酸を配合したオイルの傑作。本当に1~2滴でびっくりするほど潤うオイルの威力を肌で感じてほしい。
マッサージオイルとして美容液の前に使うユニークな一品がゲランのアベイユ ロイヤルのつくった蜂蜜高配合のオイル。そしてベキュアの蜂蜜入りオイルは、なんと化粧水導入液としても使える上に、髪にもボディにも使える、嬉しいマルチ。お手入れの仕上げに使うイメージが強いオイルだが、確かにマッサージやパック、他のものに混ぜたりというマルチな使い方ができるのも魅力。もちろんシワが減り、弾力が増す。
そしてオイルの進化を決定的にしたのが、アルビオンの話題のオイルファンデ、オイルセラム ファンデーション。これは明らかにアブラのツヤでなく、みずみずしい潤いがつくるツヤで、信じられないほどピンとした毛穴のない肌をつくり、しかも驚くべき化粧もち。オイルの定義を根本から変えてしまった。また究極は髪に纏うツヤのベールになった、ロレアルパリ エルセーヴのオイルミスト。アブラがスプレーで纏えるのだから、いかに軽やかに均一に広がる“進化したオイル”かわかるはず。オイルコスメは今、本当にすごいことになっているのだ。
オイルは守られている安心感がハンパじゃない。だから女はみんな隠れオイル好き。それが今、花開いた形。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2013.11.17(日)
齋藤 薫=文
吉澤康夫=撮影