山梨の食材を用いたスペシャルディナーと七賢とのコラボ
調理を担当したのは、「ベージュ アラン・デュカス 東京」総料理長 小島 景氏。全6品のスペシャルディナーが提供された。
青森県大間の一本釣りのマグロを使った「近海の一本釣り中トロ、洋梨の酒煮とカブ、ヘーゼルナッツ」には2006年に醸造された大吟醸古酒を仕込み水の一部に贅沢に使った「Expression2006」を。ひと口含むと爽やかな果実味やトースティーな穀物感が感じられる複層的な味わいが魅力だ。
長野県の山中で栽培されているソルガムを炊いたものと、季節の野菜、山梨県のオリジナルの魚、富士の介を合わせた料理。富士の介は昆布と塩でマリネした後、絶妙な火加減で表面だけを炙っている。こちらの料理には「Expression2020」を。こちらも貴醸酒製法を採用したお酒で、古酒の奥深さと、爽やかなリンゴ酸が絶妙にマッチしており、富士の介の味わいを最大限に引き出してくれる。
ほのかな海藻の香りがする蝦夷鮑とサザエを炭火で焼き、根セロリやサボイキャベツ、ケールを添えたもの。合わせたお酒は七賢の羅針盤とも言える「ビロードの味」。切れのいい果実味と軽快な酸味で、長く愛されている日本酒だ。
山梨県の甲州牛をローストしたものに、ミニフェンネル、新ジャガイモのポムスフレとアボカドを合わせたメインには料理を引き立てる食卓の大吟醸「絹の味」を。大吟醸特有のフルーティな香りが控えめのため、食事に合わせるには最適の1本。
最後は「ル・ショコラ・アラン・デュカスのショコラを使用したデセール 栗の燻製」とこれぞ白州の酒「甲斐駒」を。華やかでフルーティな味わいはスペシャルディナーの締めくくりにふさわしい。
多くの来場者が感嘆と賛美の声をあげ、最高のフィナーレを迎えた「アラン・デュカス スパークリング サケ」のお披露目会。
2つの先駆者が切り拓いた日本酒の可能性と新たな魅力はこれから世界へと飛び立っていくだろう。この取り組みをきっかけに新たな食材、料理と日本酒のマリアージュが誕生し、その出会いがまた日本酒の新たな道を指し示していく。そんな日本酒の輝かしい未来を予感させるようなスペシャルな時間だった。
これからの日本酒がどうなっていくか、今から楽しみだ。
2022.12.11(日)
文=CREA編集部