守られるだけがプリンセスじゃない――戦うお姫様が主役の痛快アクション

◆『ザ・プリンセス』(2022年)

 ディズニー映画といえば、おとぎ話の世界を舞台に、きらびやかなドレスに身を包み、王子様と素敵な恋物語を繰り広げるプリンセスたちの活躍も魅力のひとつと言えるでしょう。『ザ・プリンセス』もおとぎ話を舞台にお姫様の活躍を描いた作品なのですが、そのテイストは旧来のプリンセス作品とは大きくかけ離れたものとなっています。

 主演を務めたのは、2013年のホラー映画『死霊館』で、子役ながら存在感を見せつけていた女優のジョーイ・キング。今や23歳となった彼女が、激しいアクションを見せてくれるのです。

 主人公は、町の住人を支配下におこうと企む政敵からの政略結婚の申し出を断り、塔に幽閉されてしまったお姫様。手錠をかけられ、いわゆる“囚われのお姫様スタイル”だったのですが、なんと自分で関節を外して自力で脱出に成功するのです。

 それだけにとどまらず、“よくもやってくれたわね”と言わんばかりに剣を取り、敵兵を掴んだまま高所から大ジャンプ。地面に叩きつけるなどの無双ぶりを披露します。その痛快さは相当で、きっと日々のストレスも吹っ飛ぶはず! 監督のレ・バン・キエは、前作『ハイ・フォン ママは元ギャング』でも、ベトナムのシングルマザーを主人公に超絶アクションを撮っていましたが、そのバトルスピリットはおとぎ話の世界でも健在なようです。

あらすじ

昔々あるところに、国民が平和に暮らすとある国があった。そこの若き王女と政略結婚を目論んでいた政敵のジュリウスは、王女に婚約を断られた腹いせに、王様と王妃を拘束。王女も塔に幽閉してしまう……。だが、そんな王女は天才的な格闘センスと剣術スキルを併せ持った超武闘派だった。

2022.12.08(木)
文=TND幽介〈A4studio〉