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体温を維持するための「衣」を組み立てるアイテム5選

 「3の法則」にもあるように、人間は体温を維持できないと3時間しか生きられないと言われています。体温は1度下がってしまうと簡単には戻らず、判断力の低下にもつながり、特に災害時は命の危険を招きやすくなります。

 だからと言って、たくさん着込めばいいものではく、体温を維持するためには「衣服の素材」と「重ね着の順番」が重要です。

「体温を維持するウェアの構成は、『インナーレイヤー』『ミドルレイヤー』『サーマルレイヤー』『アウターレイヤー』の4つを重ね着する“レイヤリング”が基本です。ウェアの素材と重ね着の順番で、マイナス20~30度ぐらいまでは対応できます」

 ここでは、「インナーレイヤー」「ミドルレイヤー」「サーマルレイヤー」「アウターレイヤー」に加えて、さらに保温力を高める「タイツ」を紹介します。

● インナーレイヤー(肌着)

 インナーレイヤーは一番下に着用する肌着で、体にぴったり合うサイズを選ぶと体温を逃しにくくなります。ウール素材は保温性が高いだけでなく、汗をよく吸収し、乾きやすいので、夏場はこれ1枚で快適に過ごせます。ウールの長袖もあると便利。

●ミドルレイヤー(中間着)

 ミドルレイヤーは、保温性を確保しながらウェア内をドライに保つ役割があります。ジップタイプの長袖だと脱ぎ着しやすく、インナーレイヤー+ミドルレイヤーで長い季節カバーできます。

●サーマルレイヤー(保温着)

 サーマルレイヤーはウェアの内側の熱を外に逃さない役割があり、薄手のダウン素材がおすすめ。ミドルレイヤーとアウターレイヤーの間に着ることで、暖かい中間層が作られ、体温が保たれます。

●アウターレイヤー

 アウターレイヤーは一番外側に着用するウェアで、雨や風、雪などから体を守る役割もあります。そのため防水・防風性がある素材で、重ね着を想定してジャストサイズより少し大きめを選ぶのがポイント。耳まで隠れるフードや、手がすっぽり入るポケットがあると防寒性が高まります。

●タイツ

 上半身の防寒に加えて、寒い季節はウール素材のタイツを履くと、体全体が暖かい空気層で覆われて保温性が上がります。汗をかいてもさらっとした履き心地を保ってくれるので、汗冷えすることもありません。

 また、ボトムスはストレッチ素材のパンツがおすすめで、デニムは濡れると重くなり、乾くまで時間もかかるので、選択肢があるなら避けましょう。

寒川 一(さんがわ・はじめ)

香川県出身。アウトドアライフアドバイザー、アウトドアブランドを展開するUPIのアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。『キャンプ×防災のプロが教える 新時代の防災術』『焚火の作法』など著書多数。

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