ドクターに学ぶ、マスク荒れを回避する方法

 西嶌先生に、正しいスキンケアのやり方をはじめ、マスク荒れを回避する方法を教えてもらいました。

●正しい洗顔で、肌のバリア機能をサポート

 バリア機能とは、肌が本来持っているもので、自らを外的刺激から守り、水分を蒸発させないための機能。正常に保つために気を付けたいのが、洗顔です。そのためには、いくつかポイントがあります。

・泡立てネットなどでよく泡立て、肌をこすらないように洗う
 摩擦は肌トラブルの一因です。たっぷりの泡で、手のひらと肌の間にクッションをつくるようにして洗いましょう。

・Tゾーンや皮脂の多いところから泡をのせ、1分以内で終わらせる
 汚れを包み込んだ泡を長時間のせておくのはNG。先に皮脂の多いところ、次に乾きやすい頬という順に泡をのせて、効率よく洗いましょう。

・ぬるま湯ですすぐ
 皮脂は32~33度で溶け始め、34~35度でメイク汚れもかなりオフできます。逆に、高すぎる温度では必要な皮脂まで落としてしまうことに……。人肌よりも少しぬるめの温度を目安にしましょう。

●クレンジングはなるべく使用しない

 クレンジング剤に多く含まれる合成界面活性剤は、皮膚を守る皮脂膜や、美肌菌、天然保湿因子(NMF)、角質バリアをオフし、バリア機能を破壊してしまいます。

 メイクや日焼け止めなどは石けんで落とせるアイテムを使用し、クレンジングはなるべく使用しないことをおすすめします。

●マスクは肌にやさしい素材のものを

 肌荒れが気になるなら、なるべく肌にやさしい素材のものを選びましょう。おすすめはコットン素材。肌に対する刺激が少なく、通気性がよいのでおすすめです。

 通気性をよくすると蒸れにくくなり、肌荒れしにくくなる人もいるので、マスクの下につけるシリコン製のプロテクターなども活用してみてください。

 一方で感染防御力からは、不織布が適しています。例えば満員電車などでは不織布、人混みから離れたらコットンに変えるなど使い分けしてみてはいかがでしょうか。 

 また、マスクを洗う合成洗剤が肌荒れにつながることもあるため、無添加の洗剤を選びましょう。

●同じマスクを長時間使うのは控える

 マスク内は湿度が高く、唾液に含まれる雑菌が繁殖しやすい環境です。半日使用したら取り換えるのが理想です。長くても、1日経ったら取り換えましょう。また、必要のないときには外し、使用は最小限にとどめましょう。

●マスクをつける前にワセリンやクリームを

 摩擦を軽減するため、朝のスキンケアの最後に、マスクと肌が接触する部分にワセリンやクリームを塗るのもおすすめです。米粒くらいの少量を手のひら全体に広げてから包み込むようになじませ、極薄のヴェールをつくりましょう。しっとりするので、保湿効果も期待できます。

 マスクと上手に付き合って、肌トラブルを回避しましょう。

西嶌順子

恵比寿形成外科・美容クリニック院長。看護師、助産師を経て、形成外科専門医になった異色の経歴の持ち主。自身の経験に基づく産後やプレ更年期など多くの女性の悩みに寄り添い、専門医の立場から等身大の情報を発信している。

「無駄なケアをやめる」から始める 美肌スキンケアの新常識大全

定価 1,540円(税込)
宝島社
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)