YouTubeをやっているという笑われる時代。それでも信念を貫き、今がある!

 ほかにも人に理解されない辛さがありましたね。そのころ(6年くらい前)は、YouTuberが憧れの職業に入る今とは違い、YouTuberをやっているというとクスクス笑われたりするような時代。自分が発信している内容はともかく、YouTuberと名乗るのことには抵抗がありましたね(苦笑)。周囲も「それで食べていけてるの⁉」みたいなリアクションばかりでしたから。

 唯一、救いだったのが親の反応です! 「新しいことにチャレンジするなんてスゴイ!」と応援をしてくれ、かつてNOメイク派だった母が私の動画を参考にコスメを買ってメイクを楽しむようになってくれました。

――発信をはじめて10年! 率直に、今の気持ちを教えてください。

 発信することについては、ライフワークの一環になっているので、もうまったく苦になりません。ただ、難しさは感じています。今、これだけのコンテンツがある中で、タイミングよく駆使していくことは至難の業。

 ブログから始まってYouTubeまではついていけたけれど、最近は、ショート動画がトレンドの中心にあり、注目の移り変わりの速さに驚かされています。今の流行だけでなく、今後も発信ツールや、トレンドの方向性によって、シフトチェンジするタイミングを見極めなければと常々考えています。

――続々と、メイクを発信するインフルエンサーが登場していますが、それらの方を脅威と感じることはありますか?

 ほかの人と自分を比較して焦りを感じることは、ほとんどありません。自分の顔をベースにメイクのテクニックを発信することもできますし、人にメイクをすることもできる。そのために資格も所有(※1)していて、そんな私だからついてきてくれるファンの方がいるので、今のところはプレッシャーを感じずにいられています。

※1 所有資格

美容師免許
JMA日本メイク検定1級
JMAメイクアップアドバイザー
パーソナルカラー検定2級
JMA認定メイク講師資格

「真似メイク」だけではない! 伝えたい“かじえりメイク”の芯の部分を本に凝縮

――その“かじえりメイク”の魅力が凝縮する本『メイクやパーツへの悩みが一気に解決! 知りたいこと全部知ってかわいくなるメイクの教科書』が2月に発売になりました。CREA読者におすすめポイントを教えてください。

 メイクで理想の顔に近づけるには、なによりパーツの形や配置、輪郭など、自分の顔を理解することが大切だと私は考えています。「真似メイク」が別人級の変身を叶えるのは、自分の顔を熟知し、その上でなりたい顔と比較して足りない部分を補うからなのです。

 まずは、自分の顔の中で強調したい部分と、カバーしたい部分を明確にし、それをメイクに落とし込むことで、自分に合い、かつキレイになるメイクができるようになります。そんな方法を提案しているのがこの本です。キレイになりたい方はもちろん、メイクに納得がいっていない方にぜひ読んでいただきたいです!

――この本にかける想いを教えてください!

 今まで、世間的には“「真似メイク」のかじえり”という印象が強かったと思います。でも、「真似メイク」は、似ている、似てないという点ばかりがフォーカスされて、私が本来伝えたかった「キレイになり、自信を持つための手段としてのメイクがある」という部分を見てもらえず、ジレンマを感じていました。

 「真似メイク」は、似ている、似ていないを問われてしまいますが、今回は、そういったエンタメ性を除いて、私がこれまでずっと伝えたかったメイクの基礎や独自メソッドが詰まった本に仕上がり、私自身、大満足の仕上がりになりました。

 後篇は、かじえりさん渾身のプロデュースブランド、「Enamor‐エナモル‐」について、そして、新米ママになった目線でメイクを語ります。

» 発信型アーティスト“かじえり”の裏側 「すべてに妥協しないために、社長になりました」はこちらから

かじえり

発信型メイクアップアーティスト。「真似メイク」で一躍有名に。“真似メイク”のかじえりとしてテレビや雑誌でも注目の的に。現在は、メイクアップアーティストと発信を融合させた発信型メイクアップアーティストとして活躍中。YouTubeチャンネル「かじえりチャンネル」は、登録者数が27.5万(SNS総フォロワー数は40万人)。2020年からはプロデュースブランド「Enamor」プロデュース。

2022.07.16(土)
文=金子優子
写真=榎本麻美