「あまりにも特殊な時間を僕たちは経験しました。そのときに感じていたことを、一度立ち止まって見てみようと。人類は、あのとき一体何を“止めて”しまったのか、あるいは“加速させて”しまったのか。もし世界が滅びるとしたら、その終わりの始まりは、“分岐点”はあそこだったんじゃないか。だったら今、我々は何をすべきなのか? そういったことを考えられる芝居にしたいと思っています」

 もうひとりのキーパーソンが、ステージングや振り付け、ダンサーとして参加する橋本ロマンス氏だ。

「彼女もまた僕たちと共振する欠かせない存在。稽古初日、高橋くん、上田さん、橋本さんと僕で、6時間近く話し込みました。意見を出し合ったり、作品の理解を擦り合わせたり。こんな濃密でプリミティブな舞台作り、本当に久しぶりです」

 渋谷・PARCO劇場では7月7日から。その後、福岡、京都、大阪で公演予定。

しらいあきら/1957年生まれ。遊◉機械/全自動シアター主宰(83年~2002年)。俳優として活動しつつ、ストレートプレイからミュージカル、オペラまで幅広い作品の舞台演出を手掛ける。読売演劇大賞優秀演出家賞、湯浅芳子賞(脚本部門)、佐川吉男音楽賞、小田島雄志・翻訳戯曲賞など受賞多数。22年4月、世田谷パブリックシアター芸術監督に就任。

INFORMATION

舞台『2020』
7月7日~ PARCO劇場
https://stage.parco.jp/program/nizeronizero/

2022.07.07(木)
文=「週刊文春」編集部