イ・ミギョン氏は、1958年生まれ。ソウル大学を卒業後、ハーバード大学大学院でアジア地域学を学び、その後、中国の復旦大学で歴史教育学の博士号を取っている。サムスングループのイ一族のひとりとして、最高の教育を受けてきた。
彼女がエンタメ事業に関わろうと考えるようになったのは、80年代の後半にハーバード大学大学院に在籍していた頃のことだという。アメリカで韓国という国があまりにも知られていなかったことに衝撃を受けたことがきっかけだった。
CJグループが韓国エンタメ産業界で頭角を現すことに
映画好きでもあり、アメリカのエンタメ産業を目の当たりにして韓国の文化を世界に広めたいと思ったという(『女性東亜』2014年3月号)。
彼女のプロデュースを受けたポン・ジュノ監督は、イ・ミギョン氏について、「夥しい映画を見てその尋常ではない情熱をビジネスにもたらした真の映画人」(中央日報、2020年2月10日)と評している。
イ・ミギョン氏と、CJグループが韓国エンタメ産業界で頭角を現すことになった出来事は、1995年、スティーブン・スピルバーグ監督が運営する「ドリームワークス」社にCJグループが投資を決めたことだった。この1件で、CJグループは同社の配給権をアジア(日本を除く)で獲得することになる。
「ドリームワークス」は当初サムスンと交渉をしていた。その交渉役を担っていたのが当時サムスンの米国法人「サムスンアメリカ」に勤務していたイ・ミギョン氏(当時は第一製糖理事を兼任)だったという。ところが、両社の交渉が物別れに終わるや、すかさずイ・ジェヒョン氏(当時は第一製糖専務)に投資するよう進言したといわれる。
グループ内の会社や関連会社と統合
イ・ミギョン氏が支援しているエンタメ事業は映画制作だけではない。アジア最大の音楽授賞式として知られる「MAMA」(Mnet Asian Music Awards)など音楽分野でも多くの支援をしている。韓国のオーディション番組の先駆けといわれる「スーパースターK」の仕掛け人でもある。
2022.01.30(日)
文=菅野朋子