関 「どんなことを不思議に感じる?」とか「悲しいなあ、と思ったのはどんなとき?」という風に、細かく聞いていくタイプのマーケティングで、とても大事なんですよね。例えばこんな答えが得られるんです。「お母さんが口紅を使うときにクルクルっと回すと出たり下がったりするのが不思議」とか「自転車の補助輪を外して、後ろを支えていたお母さんが手を放した瞬間に、おしりがふわっと浮いた気がして、空飛んでるのかと思った」とか。
それは私たちも子供の頃に感じていたことだったんです。「ペットが死んだときや、友達とケンカしたときに悲しくなった」というのも、いつの時代も変わらないこと。そんな普遍的なものをドラマの核に据えて、子供の作品を作りたいと思っていましたね。
当時うちの会社はヒーローものやアクションものが圧倒的に多かったけど、「ヒーローものじゃない作品を作りたい」と考えているスタッフたちと一緒に作れば、面白いものが作れると思ったんです。昔うちの会社にいらっしゃった宮崎駿さんや高畑勲さんの時代から、二つの派があったそうで……。現相談役の森下孝三は武闘派。『聖闘士星矢』(’86年〜)や『ドラゴンボールZ』(’89年~)などを作っていて、「バトルものと言えば森下」と言われる主流派です。
でも社内には日常を大事にしたものや、アクションがなくても成立するようなお話を作りたい人たちが確実にいました。プロデューサーがどんなに作りたいと思っていても、スタッフがいないと作れませんからね。
どれみとぽっぷは私たち姉妹のテイストを2つに分けています
――主人公・春風どれみのキャラクターは、どのように作られていったのでしょう?
関 実は佐藤監督にもシナリオライター(脚本家)の栗山緑さんにも、娘さんが2人います。お2人は父親の目線でどれみとぽっぷを考えているんですけど、私の場合は、私が長女で、妹と2人姉妹。性格や好きなものは違うけど、私と妹の性格をミックスして、ダメなところを集約的に持って来たのが「どれみ」です。
2022.01.12(水)
文=岩佐陽一、「文藝春秋電子書籍」編集部