黄金時代と言われる1950年代に注目!
フィンランドデザインにおける「黄金時代」と表現されるのが、1950年代です。
自然をテーマにデザイナーたちが生み出した、個性豊かなガラス製品や陶磁器作品、織物やインテリアテキスタイルなどは、細部に至るまで見応えたっぷり。
「個性的で華やかな作品を制作することを国も支援。万博やトリエンナーレなど国際的な舞台で、フィンランドがデザイン国家であることのPRに成功しました」(菅沼さん)
セラミックのタペストリーは斜め横からも鑑賞したい
ルート・ブリュックによる自然界の繊細な事象をモチーフにした陶板作品にも注目です。
多様な小さなタイルで構成されたセラミックタペストリーは、3次元的に作られています。正面からだけでなく、斜め横からも眺めて、立体的な造形美を堪能してみてください。
アート作品のような大量生産品に見る先進性
1940年代後半から1950年代初頭にかけて、工芸企業のアラビア製陶所では50人以上の装飾アーティストを雇用。
手頃な価格ながらアート作品のような図柄の食器類を大量生産しました。
「ライフスタイルに直結しているデザインが多いので、自分ならどれを使うとか、どれがほしいなどと考えながら鑑賞すると、展示品がより身近に感じられると思います」(菅沼さん)
マリメッコ社では、女性が活躍!
鮮やかで大胆なテキスタイルデザインでおなじみのマリメッコ社もフィンランドの会社です。
同社は、創業者のアルミ・ラティアをはじめ、マイヤ・イソラ、ヴオッコ・ヌルメスニエミ、アンニカ・リマラといった若手アーティストやデザイナーなど、女性が重要な役割を果たし、活躍してきた会社でもあります。
ありきたりな市場調査ではなく、デザイナーの直観と創造的なヴィジョンに信頼を置いたからこそ、これまでにない新たなテキスタイル表現を生み出すことができたのです。
会場には、ひと目でそれとわかるような特徴的な同社の生地で作られたドレスも多数展示されています。
寒くて暗い冬を乗り切るため、インテリアは明るく華やかに
冬が長く、極夜と呼ばれる1日中太陽が出ない日もあるのがフィンランドです。
「冬場は家で過ごす時間が多く、太陽や花など色鮮やかな自然への憧れが強いんです。それらの柄をテキスタイルなどのインテリアに取り入れることで、室内の印象だけでなく、心まで明るくするのがフィンランド流の過ごし方」(菅沼さん)
北欧で暮らす人たちのそんな思いを、ビビッドな色彩のテキスタイルを観ながら汲み取ってみるのも展示を楽しむ秘訣です。
ミュージアムショップが品数豊富で楽しすぎる!
展示を見終わったあとに待っているのが、ミュージアムショップです。
会場限定販売となる展覧会のオリジナルグッズをはじめ、フィンランドデザインのアイテムが勢揃い。
展示の延長として観るもよし。お気に入りを見つけて、いつもの暮らしの中に温もりに溢れた北欧の品々を取り入れてみるのもよし。
フィンランドのデザインがますます好きになり、最後の最後まで気分の上がる展覧会なのです。
「ザ・フィンランドデザイン展ー自然が宿るライフスタイル」
期間 開催中~2022年1月30日(日)
会場 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F Bunkamura ザ・ミュージアム
電話番号 050-5541-8600(ハローダイヤル)
営業時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)、金・土曜 10:00~21:00(入館は20:30まで)
休館日 2022年1月1日(土曜・祝日)
入場料 一般 1,700円、大学・高校生 1,000円、中学・小学生 700円
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_Finland/
※会期中のすべての土・日曜・祝日、および1月24日(月)~30日(日)は【オンラインによる入場日時予約】が必要となります。ご来場の際には展覧会公式ホームページにて最新情報をご確認ください。
2021.12.21(火)
文・写真=石川博也