木漏れ日を浴びながら“ととのう”唯一無二のサウナ

 窓から望める木々を眺めながら朝食を頂いた後は、いざ温泉とサウナで“ととのい”ます。

 湯ヶ島温泉の泉質はカルシウム・ナトリウム硫酸塩泉なので、美肌効果が高いとされており、お湯も柔らかく、長時間入っていたくなる泉質。

 館内には貸切露天風呂が一つと、二つの大浴場にはサウナがついています。

 そしてここ「おちあいろう」のサウナは、“ととのえ親方”との異名をもつ、松尾大氏が監修したもの。

 「月の湯」にある茶室サウナは、その名の通り茶室からインスピレーションをうけてつくられたものです。

 サウナから水風呂までの距離は非常に重要とされており、遠いのはもってのほかですが、こちらの水風呂はどこにあるかと言えば、なんとサウナ室の下。一見すると見当たりませんが、サウナを出て、少しばかりの階段を降りると水風呂が広がっているのです。使われているのは、旅館横の清流の水。天気がよく濁っていなければ毎日汲み入れているとのこと。

 サウナ室から水風呂を見下ろすなんて、ほかではできない経験と言えます。

 そしてもうひとつ、洞窟風呂の愛称で知られる、「天狗の湯」にもサウナが。こちらのサウナ室の床には温泉が流れており、水の音を聞きながらサウナタイムに浸ることができます。また、温泉水を使ってロウリュも可能。そして素晴らしいのは外気浴の環境。

 木漏れ日と風の音を感じながら、ほてった体を冷ましていく……。こんな贅沢なサウナ体験がほかにあるでしょうか。思わず一言出てしまいます。「ととのった~」。

 “ととのう”とはサウナ用語のひとつで、簡単に説明すると、サウナ、水風呂、休憩(外気浴)を繰り返すことで心身ともに気持ちよいと感じる状態のこと。3日ほどその効果が続くと言われているので、仕事が忙しいときや疲れている人にこそ試してほしいものです。

 ばっちり“ととのった”後にサウナ室を出ると、目が合ったのは瓶入り牛乳。温泉後の外せない一杯ですが、こちらも自由に楽しめます。キンキンに冷えたグラスに注がれるビールと、どちらにするか迷いどころ。

2021.12.01(水)
文=CREA編集部
撮影=鈴木七絵