河西 それはどうしてですか。
片山 私の興味で申すと、たとえば陸軍の酒井鎬次将軍は、戦前に欧米を見習って、日本に戦争指導のための実権ある会議体を作る研究をした。ところが結論は、「日本では、そんなものは作らないほうがいい」。結局、本当に困るところまで行かないと、立場を超えて本気で考えて合意が取れないのが日本の政治文化ということです。そこまで行かないうちに仕組みをいじっても混乱を招き、将来に禍根を残すだけだと。事実、意思決定のシステムを曖昧にしたまま、土壇場まで陸軍も海軍も文民も四分五裂して勝手をして、御聖断で解決したのが終戦でしょう。
行くところまで行ったときに不思議とたちまち落ちるところに落ちる。右の頭山満もリベラルの長谷川如是閑も、日本論となると不思議とそういう話になる。私もそこが日本らしさの肝だと思う。現在の有識者会議を批判する訳ではないのですが、皇室の建てつけを変えるよりも、皇族のために本当に親身になれる侍従を付けて離さないとか、皇族の仕事について国民が考え直すとか、畏れ多い話ですが皇族の倫理について内々の教育を見直すとか、構造改革の努力を積み重ね、本当の土壇場で自ずと最善の道を開く。それが日本です。
小室さんの口から説明するのが良いのでは
山口 今後はどうなるんでしょう。みなさんは、眞子さまは無事に小室さんと結婚されると思いますか。
江森 結婚の行方は正直言って分かりません。一つは、このコロナ下では、アメリカにいる小室さんも帰国が難しいでしょう。多くの国民が大変な思いをしている中で、おめでたい結婚の話を進めてよいものなのかどうか。「国民と苦楽を共にする」という皇室のあり方から見て、どうなのかという思いもあります。
河西 私は、例えば、解決金を支払う折にでも、小室さんが自分の口からご説明するのが良いのではないかと思います。文書だとどうしてもきつく感じる。丁寧に説明する姿や質問に答える誠意を見せて、少しでも受け止め方が変わる人もいると思います。そうなれば「納采の儀」をして、正規のプロセスでご結婚する道もあるのではないでしょうか。
2021.09.16(木)
文=「文藝春秋」編集部