久世 取材はコロナの影響でほとんどできなかったので、代わりにお笑い芸人さんの舞台裏を特集したドキュメンタリー番組やインタビューを片っ端から見て妄想をふくらませました。

 とくに、漫才の頂上を決める「M-1グランプリ」の舞台裏を追いかけたドキュメンタリー番組からは、たくさんのインスピレーションが浮かびましたね。撮られていることに気付かずに舞台裏でネタ合わせをしている漫才師の方々の真剣な表情や、漫才を終えて舞台から降りた瞬間の表情などは、作品にもかなり反映しました。

──リアルな臨場感を出すために工夫されていることは?

久世 お笑い芸人という「言葉で戦う」職業を生業としている人たちをモチーフにしているので、最近の漫画にしてはセリフ量を多めにしています。あとは、キャラクターたちが漫才をする会場に、実在の「ヨシモト∞ホール」の舞台を描くなど、実際にある建物や舞台を入れて、フィクションとノンフィクションを融合させることで、「ウソ」っぽくならないようにしています。

 もともと実際に経験していないことやウソは描けない性格なので、SNSに対する考え方なども、自分の思いや経験を描いていることが多いです。

 とはいえ、主要キャラクターが5人ともイケメンというのはウソじゃないかとよくご指摘もいただくのですが、女性読者からの期待に応えたい一心で誠心誠意イケメンを描いていますので、そこは目をつむっていただければありがたいです(笑)。

(取材・構成:相澤洋美)

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『うらみちお兄さん』の脇役が“主人公”に格上げ、キャラ同士が結婚すると…久世岳の最新作『ニラメッコ』にちりばめられた“裏設定”とは? へ続く

2021.08.20(金)
取材・構成=相澤洋美
漫画=久世 岳