古き神社仏閣や歴史的な建造物が建ち並び、今なお伝統と革新が交錯する魅力的な街・京都市。
そんな京都市から少し足を延ばして“北京都”へ行ってみませんか? そこにはいつもとはまたひと味違う、新しい京都が待っていますよ。
第四弾となる今回は“ちりめん街道”と呼ばれる与謝野町加悦の重要伝統的建造物群保存地区を紹介。
しなやかな肌触り、染め付けの良さ、豊かな色合いで、日本国内はもちろん、世界的にも高く評価されている「丹後ちりめん」の生産地であるこの地区には、木造・土壁の町家などの、明治・大正・昭和の各時代の建造物がいくつも建ち並んでいます。
その光景は“屋根のない建築博物館”とも称されるほど。そんな歴史の風情を感じる街道へ出かけてみませんか。
「スパニッシュ・ミッション」様式の旧役場庁舎がお出迎え
ちりめん街道を散策するなら、まずは京都府指定重要文化財の旧加悦町役場庁舎へ。
この庁舎は昭和2年のM7.3の巨大地震の復興のシンボルとして、翌年に建造されたものです。
生糸ちりめん問屋として栄えた尾藤家の11代目尾藤庄蔵が建築費の半分を寄付しており、「丹後ちりめん」の栄華を象徴する建物です。
当時としてはモダンな建築様式「スパニッシュ・ミッション」を採用した建築で、当時の最新の技術と工法を用いて作られました。
修道院(ミッション)の建築様式にちなむこの建物は、クリーム色の外壁とスペイン風の赤瓦。左右対称というところが特徴です。役所らしい落ち着きのある風情でありながら、どこか温かみを感じます。駐車場も隣接されており、散策の拠点に使うと便利です。
さらに、与謝野町観光協会が庁舎内に設置されているので、観光ガイドの申し込みもここで出来ちゃいます(当日は対応できない可能性があります)。
自分のペースで散策もいいけれど、エピソードを聞くとより楽しめるので、時間がある方はガイド付きがおススメです!
いよいよ街道散策へ、まるでタイムスリップしたよう
南北に走るこの街道は全区間およそ830メートル。一歩街道へ足を踏み出すと、なんだか空気が変わったような心地がします。
穏やかでのんびりとした街並みはまるで明治・大正にタイムスリップしたよう。そぞろ歩くにはぴったりです。
これらの建物には、現在でも多くの住宅に住人が暮らしているとのこと。
人の生活する息吹を感じることができるから、ノスタルジックな街並みでありながら活気や温かさを保っていて、より当時の雰囲気を醸し出しているんですね。
2021.06.11(金)
文=CREA編集部
写真=鈴木七絵