龍が空に舞い上がる姿が見られる!? 天橋立名物の“股のぞき”に挑戦!

 天橋立をテーマにした作品は、絵画や和歌、日本庭園の様式美など、数多く生み出されました。

 なかでも国宝の「天橋立図」は、雪舟が晩年に描いた大作です。天橋立を画面中央に、信仰の対象の寺社や参道、塔などが精緻な筆致で描かれています。500年前の室町時代の風景ながら、今も寺社が残り、絵図をたよりに回ることができるのは驚きです。

 南北に伸びた天橋立、まずは「天橋立駅」から行きやすい南側から探訪してみましょう。

 駅から5分ほどのリフト乗り場から、海抜130メートルの「天橋立ビューランド」へ。ここからは天橋立の宮津湾側のビーチの様子がよく見えます。海に張り出した砂浜や、波線のように続く砂浜、青々と茂る松並木、写真でよく見る風景です。

 天橋立名物の“股のぞき”に挑戦してみました。

 これは天橋立を背にして立って、腰を曲げ、股の間から眺めるポーズで、空と海が逆になり、龍が空に舞い上がるように見えるというもの。その眺めを“飛龍観”と呼びます。

 股のぞきは、通常で見るよりも視界が小さく縮み、奥行きが少なく平らに見える効果があるそうですが、実際にやってみると……龍に見えるかどうかの前に、こわい。高所から望む遮るもののない風景、いつもと違う感覚にびびってしまいました。

 続いて、天橋立を歩いてみることにしました。

 陸地の文珠地区から天橋立に渡る「廻旋橋」は、船の往来時に橋が90度回転するという仕掛けのあるもの。歌人・与謝野晶子もこの橋に関して歌を詠んでいます。

 人おして廻旋橋のひらく時くろ雲うごく天の橋立

 与謝野晶子は夫婦で、また夫の与謝野寛(鉄幹)が逝去後も一人で天橋立を訪れています。今は電動ですが、彼女が訪れた当時は人が押していたのですね。ちなみに、与謝野晶子は天橋立に2泊して、60首も作ったとか!

 宮津湾側の砂浜に出てみました。砂はきめが細やかでややベージュ色、穏やかな海は透明度も抜群。夏には海水浴場としても人気です。

2021.05.22(土)
文・撮影=古関千恵子