「マッチョが震えながら駆け込んできたから獣医さんがびっくりしてました」

――ハムスターはそもそも短命ですもんね。

 そうなんです。だから、不安になっちゃって。

 朝起きたら死んでるんじゃないかって怖くて怖くてしょうがなくなって、そこからペットカメラを設置したり、怪我しないようにケージの中を工夫したり、徹底的に管理するようになりました。

――その気持ちにはどれくらいで到達したんですか。

 一度、ケージの中で痙攣したことがあったんです。ちっちゃい頃って体調がころころと変わるらしいんですけど、そんなの知らないから慌てちゃって。

 しかも、ハムスターって弱ってる時ほど強がるらしいんです。

 襲われちゃうから、動物として弱みを見せないっていう習性があるというのを聞いてから、俺がなんとかしなければいけないんだ、と思って、どういう行動が体調が悪いサインなのかとか調べまくりました。

 知らなかっただけで死ぬんですから、調べるしかないですよね。

――痙攣した時はご自宅にいらしたんですか?

 出先でペットカメラを見ていたら、生あくびをすごくしてて。これはやばいなと思って慌てて家に帰って、そのままタクシーで病院へ行きました。

 獣医さんがびっくりしてましたよ。こんなマッチョが急に震えながら、慌ててハムスターを持って駆け込んできたんですからね。その時の俺は、ハムスターより震えていました。

うちの子ベストショット②

――出先でも、常にペットカメラでチェックされてるんですね。

 そうですね。(はむはむと暮らすようになって)1年の中でこんなに1日1日、温度って違うんだっていうことも知りました。

 22度から25度くらいに室温を保ってるんですけど、冬場でもたまに暖かい日だと室温が27度とか28度になっちゃうんで、(仕事の合間に)温度を下げに家へ帰ったこともありますし、寝ている最中も深夜2~4時くらいって急激に冷えることがあって。エアコンは付けっぱなしなんですけど、とにかく気が抜けないですね。

 外とケージ内に温度湿度計を1つずつ置いてるんですけど、湿度もめちゃくちゃ上下するし……。湿度は本当にやっかいで、高くなると体の匂いが変わってしまうんですよ。

 基本、1日12時間以上、小屋の中にいて、湿度が高いと巣箱に入れた餌から細菌まみれにもなっちゃうので一定に保っておかないといけないんです。

 なんでも口に入れるから、部屋もきれいにしておかないといけないですしね。

――食べ物にも気を使っていますか?

 そうですね。最初にペットショップで薦められたのは、ひまわりの種やかぼちゃの種とかペレットが入ってる餌だったんです。

 けど、それを食べている時期に痙攣しちゃって。調べたら、種は絶対にあげちゃいけないものだったんです。

 高脂質だから太って栄養が偏るだけだし、糖尿とかいろんな病気の原因になるらしくて。

 だから、主食はペレットで野菜もあげつつ、おやつもたまにあげて、栄養バランスが崩れないようにしてます。

2021.05.05(水)
文=高本亜紀
撮影=佐藤 亘
写真=野田クリスタル