![「DENIM HOSTEL float」の山側、王子が岳からの眺望。瀬戸大橋が見渡せる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/1280wm/img_e88cc96c7ca9379d9a3372b268a606f6126000.jpg)
岡山県の児島は、瀬戸内海を望む海沿いのエリア。瀬戸大橋で四国と繋がる交通の利便性も高い地域です。
国産ジーンズの発祥の地として、また、学生服や帆布の生産で高いシェアを誇る繊維の街としても知られ、「児島ジーンズストリート」では個性溢れるデニム製品も揃います。
そんな児島で、デニムを基調としたホステル、アパレル、カフェの複合施設を営む“デニム兄弟”の弟、島田舜介さんに、この地で発信したいことへの熱い思いを伺いました!
襖や畳縁にもデニム生地を使い、洋服までも客室にディスプレイ!
![オーシャンビュウの客室の窓一面に広がる瀬戸内海にうっとり。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/0/1280wm/img_2091e8486f6bae38793a334f1b5ee95689510.jpg)
兵庫県加古川市出身の島田舜介さんと兄の山脇燿平さん。彼ら“デニム兄弟”が児島の地を拠点に展開するデニムブランド「ITONAMI(旧EVERY DENIM)」の直営の宿が「DENIM HOSTEL float」です。
ブランドが生まれたのは、弟の島田さんの岡山への大学進学がきっかけでした。
岡山と縁ができたことで、元々興味のあった児島のデニム産業について取材を重ね、ウェブメディアで発信するうちに、出会った職人たちと製品企画を行うブランドに発展していったそうです。
「デニムが好きで始めたウェブメディアでしたが、職人や工場を取材する中で、縮小傾向にあるデニム産業のためになにかできないかな、と思い始めたんですよね」。と島田さん。
作り手とユーザーの間に立ち、ユーザーにどのようにアプローチしたら作り手の思いが伝わるかを考えながら、2015年に物作りがスタートします。
当初は「EVERY DENIM」というブランド名でデニム製品の企画・販売を手掛け、全国のゲストハウスやコミュニティスペースに出かけて行っては岡山から訪れた旨を伝えてデニムを試着してもらい、共感してくれた人に販売するという方法をとっていました。
さらに2017年にはクラウドファンディングでキャンピングカーの購入資金を募り、兄弟で47都道府県をまわってデニムを届けたり、各地の地場産業で働く人と交流を持つプロジェクトなども決行。
1年3カ月かけて日本全国をコンプリートしたことで、多くの人々との有機的な繋がりができたといいます。
そして2019年にオープンしたのがこのホステル。デニム産業のことをたくさんの人に知ってもらいたい、という“デニム兄弟”の思いが直に体験できる場所となっています。
部屋の畳の縁や襖にもデニム生地を用いたり、部屋にデニム生地の洋服が置かれていたり。
自由に試着して、内装に使われているデニムに触れながら過ごすことで、より一層デニムについて理解が深まります。
![客室にディスプレイされたデニムは試着OK。ナイロンのワークウエアやキュプラのワンピースなど、綿以外の素材にもチャレンジ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/1280wm/img_d599f8406bf7ddfaf21279a74ede8dd9101997.jpg)
![現在は「ITONAMI」としてリブランディング。「ユーザーが参加するプロジェクト“服のたね”にも取り組んでいるんですよ」と島田さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/f/1280wm/img_bf41392169c05975717c1b715505c3bb100946.jpg)
![定番の綿や、テンセルのジーンズなど、部屋でゆっくり試着して購入も可能。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/7/1280wm/img_b705ce1b8c2d4e5b6709d83c9ad8bdc397720.jpg)
![ホステル内のスリッパもデニム生地を使用。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/-/img_309a181051d7ab96c93f42033ee0d22d123005.jpg)
“デニム兄弟”が仲間とともに進めている“服のたね”とは、綿を育てることから服作りの過程をみんなで楽しむプロジェクト。
賛同者に種を配り、庭やベランダで育てた綿を回収して、糸にして製品化していくものです。
自分が水やりして育てた綿がどんな形になるんだろう? と想像するだけでわくわくしますよね。
ユーザーが物作りに参加することで、製品が手元に届いてからも大切に使い続けたくなり、「縁ある物を大事にしたい」という思いが育まれていきます。
2021.04.23(金)
文=CREA編集部
撮影=嶋崎征弘