2020年、鮮烈な全国デビューを飾った、ハート形のさくらんぼ「ジュノハート」。ぷっくりとしたハートの形が可愛らしく、とろけるように甘い最高級フルーツです。

 ただ、昨年はまだその収穫量は少なく、販売があったのは一部の百貨店と高級フルーツ専門店と限られていました。今年こそ、ジュノハートを食べてみたい!

 デビュー2年目を迎えた現在の様子を生産者さんにうかがいました。


まずはおさらい! ジュノハートってどんなさくらんぼ?

 青森で誕生し、昨年から全国で販売されることとなったジュノハートですが、実は24年もの歳月をかけて作られました。

 そもそも、りんごの名産地である青森県。かつては、りんごを守るための防風林としてさくらんぼを植えていたそうです。青森県にも独自品種のさくらんぼを作ろう! と、さくらんぼの品種改良プロジェクトがスタートしたのは1996年のこと。

 1998年に、甘みの強い「紅秀峰」と大玉の「サミット」を交配したところ、ひと際大きな果実が誕生しました。まるで桃のような甘い香りと、ほどよい歯ごたえと果汁。そして、大粒でハート形の姿にメンバーは大きな可能性を感じたそうです。

 実は、ジュノハートは一度大ピンチに見舞われています。2005年、新品種のさくらんぼが試験的に育てられていた五戸町で山火事が発生。さくらんぼの木も焼失の危機に瀕しましたが、一歩手前で鎮火しました。ジュノハートが「幸運の果実」といわれる所以となりました。

 「ジュノハート」という名前が付けられたのは2013年のこと。「ジュノ」とは、家庭の幸福を司る女神の名前です。ハートはもちろん、そのかわいい形から。

今までにない大きさ・甘さ・食感

 ジュノハートには見た目から驚かされます。

 丸々と大きく、直径28ミリ以上の3Lサイズが主流で、31ミリ以上の4Lサイズ以上も珍しくありません。佐藤錦の大玉が25ミリ以上の2Lサイズですから、いかにジュノハートが大きいかがわかります。

 また、一般的なさくらんぼの平均糖度は16~18度ですが、ジュノハートは約20度。酸味が少なく、とてもまろやかな甘みです。そのせいか、白桃に似ているといわれますが、さらにさくらんぼらしい華やかな香りも加わります。

 また、やわらかすぎないのもジュノハートの特徴。パリッとした心地いい歯ごたえがあり、実と種がすんなり離れて食べやすいと好評なのです。

 さらに厳格な基準をクリアしているのが、「青森ハートビート」。直径31ミリ以上の4Lサイズ以上のもの。品質検査も行い「特秀(最も良い)」または「秀(特秀の次に良い)」とされたものだけが名乗ることを許される、さくらんぼの最高峰!

 食べればまさに胸が高鳴るような幻のさくらんぼ「青森ハートビート」。美しいハート形から、超高級ギフトとして話題となっています。

2021.06.28(月)
Text=Mei Hojo
Photographs=Asami Enomoto