新型コロナウイルスの感染拡大から8カ月。この未知のウイルスに関する情報が何もないところから始まった闘いも、ようやくおぼろげながら敵の姿が見えはじめ、対策のやり方も徐々にではあるが、スリム化していい時期が来ている。

 ところが、当初の「憶測」で構築した感染対策に今も縛られて、自らの行動を雁字搦めにしている人や組織もあるだろう。そこで、感染症対策コンサルタントの堀成美氏に、8カ月が過ぎて見えてきた、最新の知見に基づく対策「5カ条」を指南してもらった。


第1条 屋外でのマスクは不要

 自宅を一歩出ると、マスクをしていない人を探すのが困難なほど、日本ではほぼすべての人がマスクを着けて外出している。

 しかし意外なことに堀氏本人は、屋外を歩く時はよほど込み合う場所でもない限りマスクはしないという。

「マスクは唾などの飛沫が飛ぶのを防ぐのが目的であって、喋らなければ唾も飛ばない。普通に呼吸しているだけならウイルスは飛んで行かないのです」

 そんな堀氏も、電車の中ではマスクをするという。理由は「突然くしゃみや咳が出たときに“咳エチケット”が間に合わない危険性があるから」。

 基本的に、「換気ができている環境で、喋らなければ、たとえ密になっていても問題はない」と語る堀氏は、過敏症やアレルギーなどでマスクを着けられない人もいるのに、マスクをしていないだけで白い目で見る風潮こそ改めるべき、と指摘する。

第2条 会話はマスクを着けて

「3密」や「ソーシャルディスタンス」などの新語は、流行語大賞を獲るのだろうか。ただ、堀氏はこれらの言葉の使用を避けている。

「感染リスクのある行為とは、“1メートル以内でのマスクをしない会話”であって、それが明確になった以上、『3密』なんてあやふやな言葉を使う必要がないのです」

「そもそも、1メートル以内で会話をするなんて、キスしてもいい人くらいのもの。そうじゃない人がこの距離の範囲に入ってきて話しかけられたら普通は逃げ出しますよ」

 ちなみに、図書館のように「喋らないことが前提の場所」であれば、マスクはしなくて構わない、フェイスシールドは目からの感染を防ぐものであって、マスクの代用品ではない――など、街で見かける「やり過ぎ感染対策」は意外に多いとか。

2020.11.10(火)
文=長田 昭二