【ロックやパスワード保護の
状態にかかわらず違法となる】

 家族や友人などのスマホ画面のLINEのポップ表示に気付いたとしても、通常はそのままにしておくと思います。

 いたずらで返信することは言語道断ですが、たとえ親切心からであっても、勝手にLINEの返信をするようなことは慎まなければなりません。

 返信する際、LINEのログインIDやパスワードを勝手に入力してログインした場合には、不正アクセス禁止法違反となります(同法2条4項1号)。

 この場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります(同法11条)。

「返信できちゃった」はセーフ?

 では、ログインIDやパスワードを入力しなくとも、LINEを起動できてしまった、メッセージの返信もできてしまった、としたら、どうでしょうか。

 この場合、他人のパスワードなどの入力行為がないのだから、違法ではないとも考えられます。

 しかし、使用者の利便性を考慮し、スマホがパスワードやログインIDを覚えているようなときは、LINEを起動する行為やメッセージの返信が、不正アクセス禁止法違反になる可能性があります。

 ですから、どのような状態でも、他人のLINEを勝手に見たり、ましてや返信などをしてはいけません。

勝手な返信は「不正利用」

 LINEなどのSNSを利用することで、他者との交流を深めたり、様々な情報を取得したりすることができ、大変便利な世の中となっています。

 一方でアカウントを不正利用される例が後を絶ちません。

 各自がSNSを適切に利用し、不正利用をしないよう心がけましょう。

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菊間千乃(きくま ゆきの)

弁護士法人松尾綜合法律事務所弁護士。早稲田大学法学部卒業。1995年、フジテレビ入社。アナウンサーとしてバラエティーや情報・スポーツなど数多くの番組を担当。2005年、大宮法科大学院大学(夜間主)入学。07年、フジテレビ退社。11年、弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。19年、早稲田大学大学院法学研究科先端法学専攻知的財産法LL.M.コース修了。紛争解決、一般企業法務、コーポレートガバナンスなどの分野を中心に幅広く手がけている。