あの時私も君も若かった 時代を感じるこの人のこの曲
●「LOVE&JOY」(木村由姫/2000年)
当時はパラパラ大ブーム。
「ララララブアンジョイ!」というサビを聞いただけで、顔を黒く焼き白の油性ペンでアイラインをひくというファンキーな青春時代を思い出す人も多いのでは。
手旗信号のように腕を真っ直ぐ上げて踊っていたガングロコギャルは、他人の眼を気にせず青春している感じで、本当に眩しく見えた。
●「あの紙ヒコーキ くもり空わって」(19/1999年)
作詞を担当していたのが、人造人間を可愛くしたようなキャラクターが特徴だったイラストレーター326。
前後前後と体を揺らし歌っていたボーカルのケンジは、現在経営者としてご活躍という。紙ヒコーキは雄々しく飛び続けている。素晴らしいではないか。
●「ロマンス」(PENICILLIN/1998年)
ボーカルのHAKUEIは、声が色っぽいし、ルックスも少女マンガに出てくる憧れの王子かよ! くらいに麗しくて、ものすごく覚えている。
ウィキペディアで改めて調べてみると、くめ納豆名誉会員、ジブリ作品のファン、黒ひげ危機一髪に本気でビビるなど、読めば読むほど好きになってしまった。遅れてきた恋心……。
●「孫」(大泉逸郎/1999年)
何年かのサイクルで、演歌界から強めの刺客が送りこまれ、予想をはるかに超えた長期ヒットをぶちかます。
この「孫」、そして2008年の「愛のままで……」(秋元順子)はその最たるもの。ちなみに大泉さんはその後もさくらんぼ農園と兼業しつつ「孫びいき」「母親(はは)ごころ」「おばあちゃん」など、家族ソングでグイグイ攻めている。
●「最後の果実」(深田恭子/2000年)
深田恭子のデビューシングル。
華原朋美に憧れていたというだけあり、むちゃくちゃきれいな声でビックリしたのを覚えている。ちなみに2002年発売の7thシングル「ルート246」も名曲!
今や日本を代表する大女優となった彼女だが、また歌ってほしい。
●「ウラBTTB」(坂本龍一/1999年)
収録されているリゲインのCM「energy flow」が大ヒット。
世紀末を音楽にしたらこんな風、という感じで、美しくてすごく怖かった。
胸が苦しくなり、当時言われていた「癒やされる」という感覚にはなれなかったのを覚えている。
まだまだ山ほどあるJ-POPのヒット曲。みなさんの思い出の一曲は何だろう?
ドラマ「M 愛すべき人がいて」の時代は、エイベックスも、エイベックスでなくとも、そりゃもういろんな名曲が生み出され、世紀末の空に虹をかけていた。
1999年はノストラダムスの地球終末説もあったし、不安とも隣り合わせ。
すごい時代だった。
今も十分すごい時代ではあるのだが。
あんな時代もあったねと、笑って思い出せる日が来ますように。
そのツナギとして私はドラマ「M」を見て、三浦翔平の「俺を信じろ!」に勇気をもらう。
いっそもう、マサのセリフ全て「俺を信じろ!」でいいわ!
Column
田中稲の勝手に再ブーム
80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。
2020.05.31(日)
文=田中 稲
画像=文藝春秋