もともと「茶藝」とはお茶と一緒に芸術を味わう世界のことを言うそうです。その精神と今の美的感性を体験できる2軒をリストアップ。

 壺(急須)から茶海(ピッチャー)にお茶を移し、茶杯に注いでいただく。

 「工夫茶」というスタイルで中国茶をたしなむのが茶藝館だが、じつは作法だけにとどまらないのが本来の姿。芸術や文化に触れながら、心豊かな時間を過ごすことを含め、「茶藝」という。

 その精神にのっとり、現代の感性と共鳴させているのが今回紹介する2軒。


花、アートと共に体感する お茶の世界

◆無事生活 Letterpress Tea House

 「無事生活 Letterpress Tea House」はお茶と芸術を共に体感できる場所として地下1階にギャラリーを併設。

 営むのは呉さん一家。長女がアート、次女が茶道、三女が華道、父が活版印刷に造詣が深く、テーブルに飾られた花、器作家の作品など、美しいものを近くに感じながら、豊かなお茶の時間が過ごせる。

 28種類あるお茶の半分以上が烏龍茶で、台湾のオーガニック茶が中心。

 一煎目はほんのりとした味が広がり、二煎目は香りの輪郭がはっきりするなど、感性豊かな空間で味わうと五感が研ぎ澄まされ、変化をクリアに体感できる気がする。

無事生活 Letterpress Tea House
(ウーシィシェンホー)

所在地 台北市信義區吳興街461號
電話番号 02-2720-5070
営業時間 13:00~20:00
定休日 月~火曜
http://www.caketrees.com/

2020.05.17(日)
Photographs=Kiyoko Eto
Coordination=Yuka Aoki

CREA 2020年5月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

おいしい、台湾。

CREA 2020年5月号

その一口できっと笑顔
おいしい、台湾。

定価820円

台湾を訪れると、いつも地元の人のあたたかさ、おおらかさに心癒されます。その笑顔の秘密は、日々の豊かなごはんなのかも。あつあつの小籠包に滋味深いお粥や豆漿、心ときめくかき氷とふわふわの豆花。おいしいものは元気をくれる。そんな当たり前だけど大切なことを思い出させてくれる旅をご案内します。