今回ご紹介するのは、知り合いの“食”担当のライターさんから教わった、神楽坂・福屋の『勘三郎せんべい』(8枚 735円)です。
「おせんべいなら、ここ!」と、彼女は断言するのですが、私もまったくの同感です。
備長炭で一枚一枚、手焼きされた堅焼きせんべいです。
歌舞伎俳優の先代の中村勘三郎さんが、ここのおせんべいがお好きで、自分用に、「もっと焦せ」と、特別な注文をしたのが始まりだったそう。勘三郎さん用に焼いたものをお店においていたら、他のお客さんの中にも「焦げせんべい」をほしがる方がいらしたため、商品化され、人気商品になったのだそうです。
このおせんべい、ホントに堅焼きで、パキッと手で割るのに力がいります。そして、バリッとひとくち噛んだときの、しっかりとした歯ごたえとともに、香ばしい「焦げの風味」が口の中に広がります。おせんべいの色が濃いので、おしょうゆ味でしょっぱいのかと思いきや、この濃い色は焦げの色なのです。
おせんべいの袋に入っているしおりに“焼き損じの「焦げせんべい」ではありませんから、ご了承ください”とあるくらい、他では見たことのない焦げ色。
だけど、「苦み」にならない。そのギリギリを見極めて焦がせるなんて、職人さんの技って、やっぱりすごいなぁと思います。
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2012.12.18(火)