変わりゆく香港を眺める、6分間の船旅

 変わる街と街を行き来しているのが、香港島と九龍半島を結ぶスターフェリー。100年以上の歴史があり、1979年に地下鉄が開通した後もずっと、香港市民の交通手段として使われている。尖沙咀と香港島(中環・湾仔の2路線)を結ぶスターフェリーの料金は約30円。ほかにも路線があったが、昨年、廃止されてしまった。

 もちろん、交通の便利さでいえば、地下鉄のほうが早くて便利だし、タクシーで島間を移動することだってできる。でも、それが分かっていてもスターフェリーを選んでしまうのには理由がある。レトロな船内も、セーラーカラーを来た船乗りのおじさんたちも、風に当たりながら見える景色も、どれもずっと変わらないスターフェリーの魅力。わずか6分間の短い船旅は、めまぐるしく変わる街の喧騒を忘れさせ、ゆったりとした気持ちにさせてくれる。

スターフェリーの尖沙咀・中環線は毎日6:30~23:30の間、尖沙咀・湾仔線は7:20~22:50(日祝は7:40~)の間、それぞれ4~15分間隔で就航。摩天楼がそびえ活気あふれる香港、夕暮れ時のノスタルジックな香港、そして100万ドルの夜景まで、船内からは、刻一刻とかわる街の景色を眺めることができる

 格安な庶民の交通手段であるスターフェリーに乗っていると、乗客の国籍が豊かなことに気づく。香港では家政婦を雇うことは日本よりはるかに簡単で、出稼ぎに来ているフィリピン人のメイドさんも多い。一方、最近減ったと感じるのが、インドの人たち。かつて彌敦道でよく見かけた、頭にターバンを巻いたインド人男性が、最近は少なくなってきているように思う。

インド人の男性が、茶餐店(庶民的な食堂)で話に花を咲かせる。これも、かつてイギリスの植民地だった香港ならではの光景

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2012.12.18(火)