出発15分で親子クジラを発見!
タヒチ島では毎年8~10月、ザトウクジラが子育てのために南極からやってきます。ホエールウォッチングなら沖縄やハワイでも体験できますが、タヒチ島におけるホエールスイムはここ最近にスタートしたばかりのアクティビティだそうです。
タヒチ島は大きなタヒチ・ヌイ島と小さなタヒチ・イチ島が合体した、ひょうたん型をしています。今回はタヒチ・ヌイ島の「マナヴァ・スイート・リゾート・タヒチ」内にあるウォーターアクティビティセンターの「ホエール・ウォッチングツアー」に申し込み、クルーザーに乗っていざ、海へ。
といっても、それほど沖へ出ることもなく、海岸線に沿って南下していきます。
クルーザーに乗り合わせたのはフランスからの家族旅行の人たちなど、総勢9名。
ガイドのトゥミ・ブランドさんは「みんなで協力して探しましょう! 水面が平面になっているところはその下にいる可能性が高いわ。水面から見える尾ヒレ、ブロウ(潮吹き)をみんなで360度チェックして!」。
出発15分にして、親子クジラを発見。ボート内は一瞬、騒然としたものの、クジラたちを怯えさせないように声を静めて興奮を伝えあいます。
ガイドのトゥミさんいわく、ここで大切なのは、ポジティブな“バイブ”をクジラへ送ること。「なんて、美しいの!」「あなたに会いに来たのよ!」と、念じることだそうです。
すると鏡のようになっている水面から大きく湾曲した背骨が水面に現れ、ふたたび沈んでいきました。ひとつひとつの背骨の動きが見えるほど近くです。
クジラが潜ってしまうと、キャプテンは時間を計り、次に現れる場所を予想します。長いと45分間も潜っていることもあるとか。ふたたびブロウが見えた場所へ、ボートは近寄っていきます。
情報を聞きつけたのか、他のクルーザーも1隻やってきました。けれど、クジラが湾に入ろうとしている時は水中に入ってはならないルールがあり、スイムは断念。別の場所を探すことにしました。
さらに30分ほど経過して、中だるみの時間帯。でも、ガイドさんたちは情報収集に余念がありません。近くの釣り船に「クジラを見ませんでしたか?」「あっちの方だよ」と、遠くを指さす釣り人たち。
と、その矢先に釣り船の近くの海面から母クジラの背中が浮かびあがりました。
慌ててスノーケリングセットを準備して、ガイドの合図とともに水中へ。そしてゆっくりと近づいていくと、水中に巨大なお母さんクジラと小さな子供クジラが深みへと潜降していく姿が見えました。
2019.10.19(土)
文・撮影=古関千恵子