愛らしいシロクマのマークでおなじみの 「サンドイッチハウス メルヘン」。長く愛され続けている人気の秘密を探りました。


年間100種類以上の
サンドイッチが登場

 今から37年前、東京・田無の小さな店舗から始まった「サンドイッチハウス メルヘン」。

 今では首都圏のデパ地下や駅構内を中心に25店を展開し、全国にファンを広げている。

 もともとは創業者の原田純子さんが、女性が働きやすい職場をつくろうと起業。その言葉通り、社員の9割が女性で、店舗に併設された厨房で「手づくり」「つくりたて」にこだわったメルヘンのサンドイッチを支えている。

 店頭には常時40種類前後の商品が並び、定番から季節商品、店舗限定まで、年間100種類以上のサンドイッチが登場する。

 「今までメニュー化されたサンドイッチは500種類ほど。試作したメニューはその倍以上にものぼります」と話すのは広報の土肥幸さん。

 次々と新作が登場する舞台裏では、毎月1回、全25店の店長が各地から八王子の本社に集まり、メニュー開発の会議を行ってきた。

 会議当日の朝に、まず土肥さんを含む幹部5名ほどで候補の食材を試食し、パンに挟んで食べてみて、会議に出す食材をふるいにかける。

 会議には毎回、原田さんも出席し、全員で試作と試食を繰り返し、最終的に納得がいかないと、決まらないこともあるという。

 すべては、サンドイッチにしたときに一番おいしくなる方法を妥協せずに導き出すためだ。

 例えば栗がテーマの場合、和栗と外国産どちらを使うのか、マロングラッセか甘露煮にするか、ペーストであれば、直接パンに塗るか、俵型に丸めてクリームに挟むかなど、栗の種類や具材の並べ方のバリエーションを出し合い、味だけでなく、カットした断面の見た目も加味するこだわりぶり。

 そのうえでメニュー化するものを絞り、店長が自分の店で売りたいものを選んでいく。

 毎月のメニュー構成も店長の一存で決められるので、お客さんのニーズに合ったサンドイッチを揃えられるのも各地域で愛されている理由だ。

2019.05.15(水)
Edit & text=Chiaki Tanabe(Choki!)
Photographs=Atsushi Hashimoto

CREA 2019年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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