1993年、ロンドン西部、ノッティングヒルの小さなアンティークショップから始まったキャス キッドソン。
「モダンヴィンテージ」をブランドテーマに作られた、花柄のアイロン台カバーをはじめ、クッションカバーやコットンバッグなどの商品は瞬く間にイギリス中で人気を集め、国民的ブランドへと成長を遂げた。
誕生から25年、スタイリッシュでありながら、毎日の暮らしに寄り添ってくれるプロダクトは世界中の女性に愛されている。
25周年というアニバーサリーを迎えたキャス キッドソンの魅力を、イギリスでの留学を経てフラワーアーティストとして活躍する前田有紀さんにお聞きします。
初めての一人暮らしで選んだのが
キャス キッドソンのアイテムでした
――前田さんとキャス キッドソンの出会いはいつ頃ですか?
20代の頃ですね。就職して初めて一人暮らしをすることになった時、キャス キッドソンのタオルやエプロン、ポーチなどを、うきうきしながら選んだことを覚えています。
じつは今日の朝も、顔を洗って拭いたタオルが、たまたまキャス キッドソンの水玉プリントだったんですよ!
――それは偶然ですね! キャス キッドソンはイギリス人女性の5人に1人がもっているという国民的ブランドですが、前田さんがイギリスに住んでいた時も目にしましたか?
もちろんです。ロンドンに留学した時、本場のキャス キッドソンのお店で買い物したいと思い、コヴェントガーデンのショップに行ってみたんです。品揃えが豊富なのにも驚いたのですが、すごく活気があって。
そのあと、コッツウォルズという街でお城のガーデニングのインターンをしたのですが、ホームステイ先のお宅では、キッチンで使っているクロスやマグがキャス キッドソンのものでした。
やっぱり日常生活の中に自然に馴染んでいるブランドだということを実感しました。
イギリスの女性は
家の中を明るく楽しくするのが
すごく上手な人たちだと思います
――前田さんはテレビ局のアナウンサーというお仕事を辞めてフラワーアーティストになられたわけですが、なぜ留学先をイギリスに?
アナウンサーの頃から花が大好きで、花にかかわれる仕事がしたいなぁとずっと思っていたんですね。それでいろいろと調べていると、必ず出てくるのがイギリスの庭園の風景。
特にコッツウォルズのお城の庭園の写真が多くて、どうしても実際に自分の目で見てみたいと、思い切ってテレビ局を退職し、まずはロンドンへ渡りました。
人生一度きりなので、「きっと無理だよね」とあきらめず、その世界に飛び込んでみようと。
――それでロンドンでの語学留学を経て、コッツウォルズでガーデニングのインターンをされたんですね。現地の印象はいかがでした?
コッツウォルズは緑豊かな田舎町ですが、ロンドンのような都会にも公園がたくさんあるので、自然と触れ合う機会が多いんです。それに、花屋さんにもたくさんお客さんが出入りしていて、女性も男性も花との距離がすごく近いと感じました。
ホームステイ先はオリーブという女性の家だったのですが、彼女もすごく花が好きで、庭にはいろんなバラやハーブが植えられていましたし、部屋にもフラワープリントのアイテムがいっぱいあって、生活空間がすごく明るく感じられるんです。家の中で楽しく過ごすことを大切にしていましたね。
――イギリスは天気が悪い日が多いので、プリントアイテムなどで家の中を明るくすることを大切にする文化があるのかもしれませんね。
本当にそうなんです。
そういう文化の国で生まれたキャス キッドソンというブランドだからこそ、人の暮らしの身近なところにいつも花があって、癒しや潤いを与えるものであってほしいという願いがこめられているんでしょうね。
改めて、奥の深いブランドだと思います。
2019.02.22(金)
構成=張替裕子(giraffe)
撮影=興村憲彦
ヘアメイク=山下光理
スタイリング=田沼智美