■星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
(前篇)
国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。
この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。
かの芸術家も愛した
奥入瀬渓流に溶け込むリゾート

奥入瀬渓流沿いに建つ唯一のリゾートホテルである「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」は、雪深い季節だからこその楽しみを教えてくれる場所だ。
冬季は休業していたこのホテルが、9年ぶりに冬季営業を再開したのは2017年のこと。スノーシューを履いて行う雪上ハイキングや渓流のガイドツアーなど、魅力的な冬のアクティビティーが整えられた。

車窓いっぱいに広がる雪景色に期待を高まらせながら、無料送迎バス(八戸駅、青森駅より)に乗り約1時間半~2時間で、「奥入瀬渓流ホテル」に到着。

館内に足を踏み入れ、まず目に飛び込んでくるのは、岡本太郎の遺作である大暖炉の「河神」だ。
奥入瀬渓流の美しい自然を表した彫刻は、その向こうの窓に広がる一面の雪景色と一体となって、雪の中はるばる来たゲストを「いらっしゃい」と迎えてくれているかのよう。

このリゾートの中には、もうひとつ、岡本太郎の作品、「森の神話」がある。「河神」は水の妖精を、「森の神話」は森の妖精をイメージしたというダイナミックなアートは、いかにも、この地を愛した岡本太郎らしい。

東館と西館に分かれ187室を擁するこのリゾートで、もっとも自然を感じられる客室といえば、渓流に面した和室だろう。
派手さがなくシンプルなしつらえは、自然を最大限に楽しむための工夫。壁側の空間に、テレビやデスクなど機能的な部分を集約しすっきりとした空間が、窓の外の景色を引き立てる。

窓際には、足を伸ばしてゆったりと寛げるソファ。眼下には、木々が凍てつく厳しい冬も滔々と流れ続ける渓流が。
ここに座って自然を眺めているだけでも、心が癒される。

露天風呂テラス付きのスペシャルなゲストルームは限定3室。プライベートバスから見える渓流が雪化粧をし、いっそう美しさを増す冬。ちょっと贅沢をして、こんな部屋での滞在を楽しんでみたい。
2019.02.23(土)
文=芹澤和美
撮影=佐藤 亘