本を1冊覚えるような気分でした
――「SUITS/スーツ」でお気に入りのシーンを教えてください。
チャン・ドンゴン 様々な場所で撮影を行いましたが、個人的にはトースト屋台でのシーンが好きですね(※韓国にはトーストを売る屋台やフードトラックが多い)。屋台前でのやり取りはドラマの序盤にたくさん出てるんですが、ヒョンシクさんとのセリフの掛け合いが楽しくて印象に残っています。
パク・ヒョンシク 僕はチェ弁護士の部屋ですね。この部屋の中ですべてが起こったと言えるほど思い出の詰まった場所だから一番記憶に残っています。意見が対立してケンカしたり、ふざけ合ったりそういう場面をあの部屋で撮ったので僕の大好きな場所です。よく撮影前の待ち時間には、ふざけてチェ弁護士の椅子に座ったりしていました。
――大変だったシーンはありますか?
チャン・ドンゴン やはり裁判のシーンでしょうね。「SUITS/スーツ」は法廷ドラマにしては裁判のシーンが少ないんです。チェ弁護士のモットーは「なるべく裁判に持ち込まず、その前に示談で済ませる」なので。だから、たまに法廷に立つことになると大変な思いをしました。セリフの量も多いですし、内容も難しくて本を1冊覚えるような気分でした。模擬裁判のシーンではヒョンシクさんは、パニックになっていて。
パク・ヒョンシク あのシーンは丸1日かかりました。あれは大変でしたね。
チャン・ドンゴン 長時間、狭い部屋で集中していると精神的に追い込まれてしまうから。
パク・ヒョンシク 撮影は体力より、精神的なもののほうが大変でしたね。
ドラマ「イヴのすべて」(2000)、映画『友へ チング』(2001)がアジア各国で人気を博して以来、20年近くトップの地位を維持し続けるチャン・ドンゴン。演技に対するストイックさと謙虚な性格で知られ、私生活でも女優コ・ソヨンと結婚後は、韓国きっての美男美女カップルとして注目を浴び続けている。ここ数年、やや仕事をセーブしていたが、6年ぶりにドラマに復帰し、成熟した魅力を十二分に見せつけることになった。
一方、パク・ヒョンシクはドラマ「力の強い女 ト・ボンスン」(2017)などの成りきり演技が評判となり、K-POPアイドルから、高視聴率俳優へと見事に転身。今まではいわゆる白馬の王子役が多かったが(本人もなかなかのおぼっちゃまらしい)、今回は不運に見舞われ続ける苦労人の青年を演じ、大先輩ドンゴンとのケミストリーもぴったりで、“ブロマンス”を体現。
2018.08.08(水)
文=石津文子