ランニングは背中が勝負!? 体の摩訶不思議を実感
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脚をしっかり伸ばしたあとは、意外なところをストレッチ。
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「マラソンは、脚だけを使うスポーツだと誤解されがちです。もちろん脚も大事だけど、実は、同じくらい大切なのが背中です。体のマッサージを1時間受けるとしたら、私の場合は50分間が背中で脚は10分程度。それほど、ランニングにとって背中は重要な場所。背中のストレッチをする時は、肩甲骨を左右に広げるようにしてしっかり伸ばす。そうすると、腕振りがしっかりできるようになります」
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ストレッチを終え、準備も万端。さあ走るぞ、と思った二人の期待とは裏腹に、高橋先生はまだ走らせてくれない。
「残念ながらまだ!(笑) 走る前に、まずは歩くことから始めましょう。現役時代に大会に向けて練習を始める時は、数カ月前にまずは2、3時間のウォーキングからスタートしていました。大会当日も、10分くらいは必ず歩いていたかな。なぜかというと、走っていてつらくなるとフォームがバラバラになって修正できなくなってしまうから。ウォーキングの時に、しっかりと理想のフォームをアタマとカラダに認識させるんです。特に初心者の場合、走ることに慣れるまではウォーキングを多めに取り入れたほうがいい。今日も、フォームの確認もかねてウォーキングから始めましょう」
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フォームで意識するポイントは、視線の位置、腕振り、腰の位置の3つ。
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「視線はまっすぐ前より少し下に落として、顎をちょっと引きましょう。人間のアタマって意外に重たいので、視線を上にすると体が後傾しちゃう。そうすると、足が前に出にくくなってしまうんです。そのまま走ると無理に脚の力だけで走ろうとするので、疲れてしまって42kmなんてもたない。逆に、顎を引いてアタマを前に倒すと、ほら、自然に脚が前に出るでしょ? 簡単に脚が前に出て、体を支えるような感じで走れると、脚の筋肉を使わなくてすむ。マラソンは長距離なので、体を自然の原理で動かすというか、余計な体力や筋力を使わず、温存しながら省エネモードで走ることが大切です。
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腕振りは、腕を90度くらいに曲げて、肘を真後ろにスライドさせて。後ろに引く時ハの字に開きがちですが、なるべくまっすぐに。肩に力が入らないように、拳は軽く握る程度で大丈夫。
最後のポイントは腰の位置。腰を高くキープするイメージで。腰が落ちると重心が下がって脚に負担がかかってしまうから。高い位置のまま水平移動するイメージで歩いてください。ジムのマシンではぴょんぴょん跳ぶように走る人が多いですが、マラソンであの走り方をすると無駄な動きばかりで前に進みません。間寛平さんのような忍者走法、摺り足をイメージするといいかも(笑)」
2012.06.15(金)
text:Naoko Arai
photographs:Asami Enomoto
hair&make-up:Maki Komori(Naoko Takahashi)
CREA 2012年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。