ボリューム満点の理由は
高田馬場にあった

チンゲン菜、もやし、キャベツなどの野菜が麺を覆いつくすように盛られ、その上に大ぶりの海老が3尾、ゆで卵は丸ごと1個。とにかく具のボリュームが半端ない。

 じつは店主のマコさんは、高田馬場で8年間、マレーシア料理店の店長を務めた経歴があります。惜しまれつつも2014年にその店はクローズ。自分の店をやる、と決意したマコさんは、朝から晩まで働いて資金を貯め、ようやく2016年、オーナーシェフとして「ラムリ」を開店させたのです。

 「女性のお客様からは、量が多いと言われることもあるけど、高田馬場のときは、これでも足りない学生さんがいたのよ」とマコさん。野菜たっぷり、具だくさん。それは、高田馬場時代に愛された味のなごりなのです。

店主のマコさんは、クアラルンプール出身のマレーシア人。とくに華人系のマレーシア料理を得意とする

 「ラムリ」のスープやタレは、すべてマコさんの手作り。「おいしい」と納得した麺は、多少値が高くても取り寄せ、サンバルは週2回のペースで仕込む。豚の漢方煮込みスープ「バクテー」や滋養強壮に効果のある「漢方酒」など、日本人に知ってほしい故郷マレーシアの味に力をいれ、常に研究を続けています。

日本語、中国語がペラペラのマコさん。開店を待ちわびていた高田馬場時代のマレーシア人常連客が、現在はみな「ラムリ」に集合している。

 そんなマコさんが作る料理を食べると、体も心もほっかほかに。東京・大塚で、現地で食べるよりもおいしい海老麺をぜひどうぞ。

※ちなみに、海老麺はマレーシア全土で食べられていますが、とくにペナンの名物なので、「ラムリ」のメニュー名には“ペナン”という地方名がついています。ただ、ペナン現地では、この料理は「ホッケンミー」とよばれています。詳しくは、「マレーシアで進化を遂げた『福建麺』は 黒でも赤でも『ホッケンミー』」の記事をご覧ください。

JR大塚駅南口から徒歩3分。都電荒川線の線路を横切り、サンモール商店街、神社を過ぎて右側。

Ramri(ラムリ)
所在地 東京都豊島区南大塚3-48-11 南大塚サンビル1F
電話番号 03-6883-8485
営業時間 11:00~15:00(L.O. 14:30)/17:00~23:30(L.O. 22:00)
定休日 無休
席数 20席(貸切の場合は要相談)
アクセス JR大塚駅、都電荒川線大塚駅前駅より徒歩3分
http://ramri.web.fc2.com/

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編、『ナシレマッ!』(Malaysia Gohan kai)を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://malaysianfood.org/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2018.01.12(金)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)