訪れた人だけ味わえる
ラボから誕生した“超限定ビール”

 「COEDO Craft Beer 1000 Labo」は、ブルワリー、タップルーム、レストランを包括した、COEDOのクラフトビールをとことん楽しむための“複合ブルワリー”。

 施設内の奥に見えるのは、1000リットルのビールタンク。「ラボ」と銘打っているブルワリーらしく、このタンクで1000種類のビールを試作して提供するという、実験的かつユニークなチャレンジが行われている。

 色、香り、味わい、のど越し……。多様性に富んだクラフトビールを知り尽くしたブルワーたちの想像力が生み出すビールは、ときに大胆でときに繊細。季節をイメージしたものも多く、詩的だったりもする。ロットにすると約100本の“超限定”ビールは、毎回早い者勝ちなので急いで。

グラスは、M、Lのほか、ご覧のminiサイズを用意。少量ずつ好きな種類を飲み比べできる。mini 500円、M 1,000円、L 1,400円。

 取材時にオンリストされていたのがこちらの3種。

◆「梅雨セゾン -Tsuyu Saison-」 (写真左)
アメリカの「Stone Brewing」、ニュージーランドの「Garage Project」、そしてCOEDOと、3カ国のブルワリーのトリプルコラボより誕生した「梅雨セゾン -Tsuyu Saison-」。各国産のホップに加え埼玉産の青梅で作った梅酒を使い、ニュージーランドのシャルドネワインの醸造に使われていた木樽のなかでゆっくりと冷蔵熟成したもの。ビールの製造過程だけでは醸し出せない香りと味わい。

◆#009 「Red Ale」 (写真中)
宝石のガーネットを思わせる澄んだ赤銅色。カラメルモルトの甘く香ばしい香りと、柑橘系の香りのホップが織りなす、ふくよかで爽やかなアロマは夏にぴったり。キャンディを口のなかで転がすように、口に含みながら味わいたい大人のビール。

◆#008 「Slow Stout」 (写真右)
食後のデザート代わりにいただきたい、ビロードのようなしなやかさがある黒色のビール。マダガスカル産の香り高いバニラと、カカオニブによるチョコレートの香りが、ほろ苦い余韻を与えてくれる。文字通り、夏の夜にゆっくりと味わいたい。

ブルワリーはガラス張りのオープンスタイル。ここから数々の名作ビールが誕生する。
タップルームとレストランは同フロア。ビールを試飲しながら、レストランメニューをオーダーすることも可能。
定番6種のラインナップもブルワリーから直送、樽生のフレッシュなおいしさを最短・最速で味わえる。

 現在、“実験ビール”は10種まで登場。1000種までは長い道のりだが、「COEDOを世代を超えて愛されるクラフトビールのブランドにしたい」というもうひとつのチャレンジであり、クラフトビールの多様性を追い求める壮大な冒険でもある。今後きっと幻のビールがここから誕生する予感。足繁く通って、その目撃者となってみてはいかが。

 次ページでは、併設のモダンクラフトチャイニーズレストラン「香麦-xiang mai-(シャンマイ)」にフォーカス。クラフトビールと料理とのペアリングを紹介。

2017.07.29(土)
文=吉村セイラ
撮影=佐藤 亘