ここ1、2年の間に誕生したバリ島のリゾートには、圧倒的な景観や、ユニークなアクティビティなど、他では体験できない独自の個性を打ち出したところが多いもよう。この特集では気になる新リゾート5軒をピックアップ。進化を続けるバリ島のリゾートシーンの、今が見えてくる。

vol.02 マンダパ・ア・リッツ・カールトン・リザーブ

ウブドのラグジュアリーシーンの
フロントロウ

朝食はアユン川を見下ろす、サワー・テラスで。“サワー・テラス”とはインドネシア語で棚田のこと。

 ザ・リッツ・カールトンの最高峰ブランド、世界で3軒のみの“リッツ・カールトン・リザーブ”が2015年8月、ウブドに誕生。渓谷美を誇るアマンダリやクプクプ バロン ヴィラズ&スパの並びにあり、期待どおりの絶景が広がる。

フリーフォームのプール。ザ・ライブラリーやサワー・テラスに隣接。

 ヤシの密林で覆われた渓谷は、ふもとにアユン川が蛇行し、シラサギが舞い降りるライステラスが広がる、平和な箱庭のようなランドスケープ。夕刻には犬を連れた少年や少女たちがスパのリラクゼーションルーム前付近の川辺に訪れ、水遊びをしたり、おしゃべりをしたり。茜色の空を、家路につく鳥たちの一群が横切る。

 そんなまるでバリ絵画から抜け出たような光景に、心も和む。

伝統的な建築様式のワンベッドルーム・リバーフロント・プールヴィラ。プライベートプールは広さ30平方メートル。

 “マンダパ”とはサンスクリット語で“寺院”という意味。渓谷の麓から丘上のメイン棟を見上げると、まるで荘厳な寺院のよう。敷地内には一家三代が守り続けている寺院もある。バリ島で脈々と受け継がれてきた伝統が、厳かにこのリゾートで息づいている印象だ。

ダークな色合いの部屋に、鮮やかな色彩の絵画が映える。ベッドの上には滞在中に着用するために用意されたサロンが置かれている。

 聖なる渓谷に佇むヴィラとスイートは計60室。ヴィラは1~3寝室まであり、広さ431平方メートル以上。オートロックの割れ門をくぐると、ベッド&バスルーム、別棟の半オープンな造りのリビング(Wi-Fiあり)、そして30平方メートルの広々としたプライベートプールがある。

 重厚感のある色使いの室内では、地元アーティストが描いた同じ作品は二つとない極彩色の絵画に目を奪われる。広々としたバスルームはダブルシンクが背中合わせに設置され、その間にメイクアップ用のテーブルまでも用意されている。

2017.02.16(木)
文・撮影=古関千恵子