曲調はあのZONEのヒット曲に似ている
山口 この30年くらいの間で、男が主役だった領域を女性が楽しむようになるって、ゴルフとかサッカーとか焼肉とかカウンターバーとか、いろいろあると思うけれど、バンドっていう文化もその一つな気がします。デジタルが普及した今となっては、バンドって形態は、ライブをやることが前提になっているのですが、彼女たちのライブも観てみたいです。
伊藤 そうなんです、圧倒的なライブパフォーマンスが話題になって関西を中心に人気が出たということなんで期待できるんじゃないかな。あとはライブではなく、楽曲もちゃんとキレてる。ZONEの「secret base~君がくれたもの~」から15年たつとガールズバンドもこうなるんだって(笑)。実際、「仮面ミーハー女子」と「secret base~君がくれたもの~」は曲調が似ているところあるし、歌詞も15年前の青春に対するアンチテーゼみたい。狙ったんだかわからないけど面白い感じに仕上がってる。
山口 なるほど。ZONEの世界観との比較は面白い視点ですね。
伊藤 作詞作曲は全曲ヴォーカル&ギターのRyoko。彼女がZONEをリアルタイムで聴いていたわけはないので、どんな経緯でこの2曲がリンクしているようになったのはわからない。それにしてもRyokoが使いこなす言葉の感覚は素晴らしい。言葉選びも面白いんだけど、全体のバランスと聴き手を裏切ったり驚かせたりというセンス。持ってるなぁって思った(笑)。
こういう子に出会うと、バンドやアーティストみたいに表に出なくても、クリエイターとしての才能あるスゲーのが沢山いるんだろうなって思います。そういう若きクリエイターたちも開拓していって、高校生クリエイターを世に放っていきたい。最近は高校生コーライティングを仕掛けようと思って、どうやったら才能ある高校生を集められるか考えています。だって高校生が書いた曲をトップアーティストが歌っていること想像したらワクワクするでしょ(笑)。
山口 真鶴でのキャンプが注目された効果もあって、第一線のプロ作曲家にコーライティングが広まっていっているようです。日本一の音の共有SNS、クレオフーガ〈外部サイト〉が、コーライティング推進運動に連携してくれて、アマチュア、セミプロにも知られるようになりました。次は10代を巻き込んでいきますか? 手練のベテラン作曲家とフレッシュな10代が一緒にクリエイティブをすることで、化学反応を起こしてくれたら、まさにコーライティングの醍醐味ですね。
2016.07.31(日)
文=山口哲一、伊藤涼