新潟県奥只見。 奥只見シルバーラインの狭く長いトンネル。右折するための「銀山平」の標識を見逃さないようご注意を。 作家・開高健が愛した宿「杉村」を引き継いだホテルとしても知られる「尾瀬十帖」は、雑誌「自遊人」岩佐十良が手がける評判の宿。自然豊かな土地で、風土・文化・歴史・食材の背景にまで光をあて、そのすべてを堪能できる。 客室はレストラン棟の2階にスタンダードルームが4室と6棟のヴィラスイート。 ログハウスをリノベーションした造りで、インテリアにも木のぬくもりや自然との調和が感じられます。また、ドッグフレンドリーヴィラスイートなどペット同伴可能な部屋もあり、ニーズに応じた滞在が可能。 風格のあるログハウスの1階はレストラン「青山緑水(せいざんりょくすい)」とレセプション、2階には4室のスタンダードルームがあります。 別棟にある源泉掛け流しの内湯「stay oze」は宿泊者は無料で24時間利用可能なのがうれしい。また、隣接する日帰り温泉施設「白銀の湯」(男女別露天風呂 9月からは営業_11:30-19:00、春の時期は11:00-18:00、水曜定休。詳細な時期はHPをチェック。日帰り入浴900円)も宿泊者は無料で利用できます。 周囲に何もない銀山平だからこそ見える星空。夜に空を見上げるだけで充足した気分になれる。 尾瀬十帖のレストラン「青山緑水」。中国の禅語で、森羅万象、自然こそが人間の住処であるという意味だそう。料理のクオリティーを上げるために完全二部制(16:30/19:00)。 地域の風土・文化・歴史を料理に表現するローカル・ガストロノミーを踏まえつつ、さらに一歩踏み込んで「文明と原始の融合」が料理のテーマ。 フランス料理出身の青柳拓広シェフが、自然と食材に敬意を込め「焼いて美味しいものは焼くだけ」「蒸すと美味しいものは蒸すだけ」という原始的な調理方法と、最先端の調理方法も用いて魚沼・奥只見の食を表現。 「奥只見の森」と名付けられた盛り合わせ。ほんのり苦味のあるアケビの新芽、身欠きにしんは、この土地でよく食されるもの。黒い小枝に見えるのは、高山植物の松の葉をスティック状にしたもの。 初めて食べる松の葉のスティックの新食感に思わず笑顔。「お土産話のネタにいいかも、程度に思って口の中に入れると、フワッと広がる松の香りとスナック菓子のような口当たりに驚きます。すごく美味しい! 確かに只見の森の景色が頭の中で広がります」(星野さん)お酒にも合います。 天然のカジカのお寿司に添えられているのは、胡桃とミョウガの花。どのメニューも、添えられた山菜や野菜の香りと素材とのバランスが絶妙。 滝雲をイメージした季節野菜のサラダ。トマトを使った泡のソースは雲をイメージしているのだそう。視覚と味覚の両方で楽しめます。 素材の美味しさを活かしたヤングコーンは、シンプルに焼いたものとポタージュどちらも美味。ヒゲまで美味しくいただきます。 山菜やハーブを合わせた鮎のコンフィ。山をイメージした緑のソースは新潟県魚沼地方の郷土料理“きりざい”。「きりざいは以前、ごはんに合わせて食べたことがあったのだけど、印象が変わりました。瑞々しくてすごく美味しい! 」(星野さん)その土地の郷土料理の美味しさに気づくというのも、素晴らしい旅の体験のひとつ。 鹿のロースは、口の中でとろける新潟産「焼きなす(なすの品種)」と一緒に。「一見意外なこの組み合わせが、至高の組み合わせでした」(星野さん) 最後はわらびご飯とお味噌汁と香の物で。 デザートは新潟の新しい名物「温泉芒果」。 米どころ新潟の中でも、特にお米が美味しいこの地区の中でも希少な「おりたて米」。土鍋で炊かれたものをいただきます。 好みのお茶碗を選ぶ星野さん。「美味しいお米、今日はたらふくいただきます!」 イワナの甘露煮、山菜や地元野菜の漬物。魚沼の山川が育んだ食材に、シェフの手仕事が交わることで、素朴ながらも究極に美味しい朝ごはんに。 ごはんをおかわりして“〆にたまごかけごはん”というのも最高。 一期一会の食事はかけがえのない思い出に。